2015.06.19

国税内部の組織

国税内部に関する質問をよく受けます。
実際のところ、税務署と国税局の調査に対する
考え方も違いますし、税理士としての対応も変わってきます。

まず先に説明しておくと、今年も4件の相談を受けましたが、
査察が入った場合は、通常(任意)の税務調査ではありません。
国税犯則取締法に基づいて行う「臨検、捜索、差押」などの
権限(強制)がありますから、税理士が立会うこともできません。

では、国税局と税務署の税務調査では何が違うのでしょうか?
大枠で説明すると下記の2点でしょう。

①期間に対する考え方

税務署であれば7~12月の上期、1~6月の下期、
それぞれの時期に税務調査を終わらせるのが通常ですが、
国税局であれば上期・下期の考え方が薄く、
6~7月の事務年度をまたぐ調査も普通に行います。

これは国税局の調査が、複数人のチームで動くこと、
1つ1つの事案が大きいことから、この違いが生じます。

ですから、税務署の調査で通じた対応方法が
国税局にはまったく通じないということが起ります。

②更正に対するハードル

税務署であれば税務調査の結果、(増額)更正を
するというのは、かなりイレギュラーな行為になります。
税務署で更正というのはかなり大変なことなのです。

しかし国税局は違います。大きな企業になると
修正申告しないことも当たり前で、
また悪質な納税者になると修正申告に応じる気がないので
更正する機会や権限を持っているのです。

では税務署の調査官で、税務調査に違いはあるでしょうか?
税務署の調査官を種類で大きく分けると3つになります。

①通常部門

通常の税務調査を担当する部門です。
大きくは、内部担当と下記②③を除いた部門です。

②特調部門

特別調査部門の略で、不正が見込まれる業種・納税者を
主に対象とした税務調査を行っています。
税務署内のミニ料調(りょうちょう)といったところです。

③特官部門

売上や資本金が大きい法人・個人事業主は
特官部門の管轄になります。
通常は、特官の下(部下)に上席や調査官がおり、
彼らは「付(づき)」と呼ばれています。

細かく説明すると、特官には2種類あり
「厚紙特官」と「薄紙特官」です。

税務調査の対応が大きく変わることはないですが、
税務署内の序列でいうと、厚紙と薄紙では
厚紙の方がかなり上であることだけは確かです。

メルマガで「事務年度」「締日」「ノルマ」など
を知れば税務調査が変わる、と書いていますが、
税務署の事情がメインですので、
国税局の税務調査では違う場合があるので注意してください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年12月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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