国際税務調査官
2010年4月1日より日本税理士会連合会は、国際委員会委員を、現行の4人から全税理士会から1人ずつ参加する15人編成にすること発表しました。
日税連では、主にアジア諸国での税理士制度の導入、発展を目的とし
アジア・オセアニアタックスコンサルタント協会(AOTCA)の活動支援、諸外国の税務行政当局や税務専門家団体への支援等、様々な国際交流事業を展開していくそうです。
日税連と各税理士会との連携・協力関係の強化、情報の共有化を
図るとともに国際交流事業をより効率的に実施するための目的のようです。
一方、国税当局でも毎年増加している海外取引への調査を強化しています。
取引の相手方が海外ある場合、主権の問題があり、容易に反面調査はできません。
取引関係書類は外国語、専門用語が使われており、内容を理解するには専門的知識を要することなど問題点も多いのです。
近年では、米国のIRS(国歳入庁)の移転価格税制が日本にある外資系の著名な企業を狙い撃ちにし、米国との国際問題に発展するケースも増えてきました。
また、軽課税国に利益を留保して、税負担から逃れようとする
タックスヘイブンの問題も大きくなってきました。
これら国際化に対応できる職員を養成するために、
国際租税セミナーという研修制度が強化されたのです。
これは一定年数以上勤務が条件で、英語と所得税法か法人税法の
どちらか一科目を選択しての選抜試験を行います。
英会話、貿易実務、国際租税、英文財務諸表等を3ヶ月間じっくり研修します。
これを卒業すると、数年後に約6ヶ月間のさらに高度な研修を受けます。
このセミナーの卒業生は、海外の駐在員、国税庁の国際業務課、
国税局の国際調査課、外国法人部門、外国人部門、税務署の
国際税務専門官等の国際関係の第一線で仕事をしています。
脱税防止や二重課税排除のために必要な情報を
外国税務当局と相互に交換する情報交換制度もあります。
例えば、日本の税務署が税務調査をしていて、相手国の企業の脱税や、取引の確認について、相手国の税務当局に調査依頼をすることが可能となります。
現在、45条約、56ヶ国と租税条約、情報交換の取り決めを結んでいます。
(平成21年10月現在)
海外取引で疑わしいものについては、国内と違って、取引相手に行って
帳簿や代表者等に確認する反面調査を容易に行うことできません。
できる調査と言っても、取引の相手先が住所地に実在するかどうかの確認や登記簿を取り寄せたり、電話帳に載っているか等の外観的なレベルです。
しかし、中には例外もあります。
租税条約を結んでいる国では、日本法人が100%出資している現地法人または支店で、その調査法人が海外反面調査の了解をしたことおよび反面国の税務当局の承認を得たことが条件で、海外での反面調査が可能となります。
最近は、国税局の調査部ばかりではなく、税務署の国際税務専門官も
海外に出張することが珍しくなくなりました。
海外取引であっても、もはや調査官の目の届かない場所などないのです。
※2010年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
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