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2016.02.23

土地の時価、瑕疵について

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

さて、今回は「土地の時価、瑕疵について」ですが、

実際の判決ではなく、私自身が経験した事例をご紹介します。

まず、当時の税務調査の流れから説明致しますが、私が税務調査から

関わった案件です。

まずは、前提条件です。

○ A社に国税局資料調査課の無予告調査があり、税理士変更

○ グループ法人税制導入直前の関係会社に対する土地の譲渡損が否認

→ 売却側のA社は寄附金、購入側のB社は受贈益、とされた

○ この土地には重大な※瑕疵があった

→ 重大かどうかは個々の判断になりますが、ここでは重大としておきます

○ その土地が存する用途地域から判断すれば、一定の用途に供する場合は

  当該瑕疵の改善は必要ない

○ A社は不動産鑑定士による鑑定評価額により、売買価格を決定していた

→ 瑕疵の改善費用を控除した額が鑑定評価額

そして、私は税務調査の交渉段階から、下記の主張をしていました。

○ 同じ状況のA土地、B土地があり、片方の土地にこの瑕疵があった場合、

  同じ値段で売れる訳がない

○ 土地に関する特別法は関係なく、瑕疵があるのだから、その改善費用は

  時価から控除されるべき

しかし、結局は更正され、審査請求でも納税者の主張は認められず、

地裁の判断を仰ぐことになったのですが、その裁判の途中で課税庁が折れ、

更正処分が取り消されることになったのです。

争点は「土地の時価」という1点ですが、「瑕疵がある土地は無い土地よりも

時価が低い」という至極当然の判断になったのです。

当然、そこまでの内容は「変更決定通知書」には書いていませんが、要は

そういうことです。

ちなみに、審査請求の段階で、多くの審査請求や税務訴訟も経験している

不動産鑑定士にこの件を相談しました。

ただ、その鑑定士はこの瑕疵には詳しくないとのことで、これに詳しい

鑑定士に相談してくれましたが、結果は「瑕疵の改善費用は控除できない」

というものでした。

しかし、法律関係等から判断すれば、そうかもしれませんが、「瑕疵が

あろうが無かろうが、土地の時価は同じだ」という理屈は「常識的に」

おかしいです。

だから、私も納税者も納得しなかった訳ですが、結果はこの「常識」が

認められたのです。

この事例を通じて、私が何をお伝えしたいかというと、税理士等の士業は

法律等をベースにした仕事なので、その範疇で考えてしまうことがよく

あるかと思います。

過去の裁決や判決でこうなっていることを理由に判断することも多いでしょう。

もちろん、私もそれは同じなのですが、これだけに縛られずに「常識的に

考えて、どうなのか?」という視点も持つことが大切だと思うのです。

常に過去に縛られていては、長崎年金二重課税事件のような画期的な判決は

生まれてはこないでしょう。

私は今回の自分の経験を通じ、「常識的にどうなのか?」という視点を

常に持つことの大切さを改めて感じました。

これをみなさんにもお伝えしたかったので、今回は過去の裁決等

ではなく、私の事例をご紹介しました。

是非、覚えておいて頂き、納税者を救う手立てとして頂ければと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2014年6月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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