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2024.06.14

売上・成約に結び付いた支払紹介料は交際費なのか?

※2023年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務調査において大きな問題(論点)となる項目として、
「紹介料(仕事を紹介してくれた者に対して支払う金銭)」があり、
この問題に関しては派生する論点が多いことから、
本メルマガにおいて複数回にわたり解説していきたいと思います。

先日、質問・相談があった工事業を営む法人への調査において、
「売上値引/預金」と処理された取引に関して、
預金を引き出し工事の紹介者に現金を渡しており、
領収書の受領はなく、かつ紹介者を明かしたくないという意向でした。

この短い前提となる文面だけでも、税務調査でモメそうな
要素は多いわけですが・・・このような紹介料の支払いがあった場合、
調査官はほぼ「交際費」と指摘してくるわけですが、まず
この論点からきちんと考えるべきでしょう(調査官の「交際費」に
反論する税理士・会計事務所は少ないように思います)。

情報提供料と交際費の区分を規定した通達を確認しましょう。

措置法通達61の4(1)-8
法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等
の役務の提供を行うことを業としていない者(当該取引に係る
相手方の従業員等を除く。)に対して情報提供等の対価として金品を
交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件の全て
を満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると
認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。
(1)その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2)提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかに
されており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3)その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に
照らし相当と認められること。

まず、この通達規定において大事なのは「支払の相手方」
(紹介者)が誰かという論点です。

「情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供を
行うことを業として」いる者が具体的にどのような者なのかイメージ
しにくいものの、「当該取引に係る相手方の従業員等を除く」ことから、
紹介者が第三者ではなく発注元の役員・従業員である場合は、
情報提供料(支払手数料)ではなく交際費となります。

また、上記通達の(1)~(3)の要件のうち、
もっとも論点になりやすいのは(1)です。

実際に紹介があって受注している以上は(2)を満たしているはず
ですし、第三者には逆ザヤにならない程度に紹介料を
支払っているでしょうから(3)の要件も満たしているはずです。

要件(1)が求めていることは、紹介料額やバック率が
(事前に)取り決められているかどうかです。

例えば、第三者の紹介者に対して、受注した
「売上の●%」「粗利の〇〇%」などの一定率であること、
また1件あたり××円などの設定であれば、
交際費と認定される可能性は低くなるでしょう。

紹介者への支払いが複数回ある場合に、毎回
支払額・率や基準がバラバラでは、事前に取り決めが
なかったとして交際費と指摘されても反論は難しいです。

この観点からすると、紹介料・(成約に対する)キックバックと
「謝礼」は区分して考えるべきです。成約した後に
紹介者に対して事前の取り決めがない謝礼を支払うのは、
あくまでも「次も仕事があれば紹介します」の意味合いであり、
交際費と認定され得るのですが、その詳細は下記をご覧ください。

「交際費課税:情報提供料の考え方(総論・後半)」

今回のメルマガでは、紹介料が情報提供料(支払手数料)か
交際費かについて解説してきましたが、来週水曜の本メルマガでは
紹介料におけるさらなる課税リスクについて解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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