外注費を給与と否認指摘されないために
※2017年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
先日、税理士会の支部研修で講師をさせて
いただきましたが、(禁止していましたが)
休憩時間中に受けた質問が、税務調査において
「外注費を給与と指摘されている」というものでした。
今回は、外注費を給与と指摘されない、
もしくは指摘されても適正に反論できるように
しておくべき対策の解説をします。
外注費か給与か、という問題は論点が多数あり、
かつそれらの要素はすべて総合勘案ですから、
何をすれば・していれば、絶対に外注費になる
というものではありません。
一方で、税務調査においては、外注費を給与と
否認するには税務署側に立証責任がありますから、
調査官は【外形的】【形式的】な要素から
否認の根拠を探してくることになるのが通常です。
(税務は実質・実態が課税要件ですが、
税務調査ではわかりやすい証拠・根拠が必要です)
例えば、外注費として支払っている相手方の申告。
本来であれば、相手方の申告の有無、もしくは
事業所得で申告しているかどうかは、
こちら側の外注費か給与かとの判断基準には
連動しないはずですが、調査官は
こういう外形的要素・基準を求めてきます。
外注費を給与と指摘されないためには相手方が、
○確定申告をしている
○事業所得で申告している
○開業・青色の届出を提出していることがベター
という状況であれば否認されにくくなりますが、
これはあくまでも相手方の状況です。
確定申告をしているかどうかを確認できる、
その内容を検閲できるわけではないでしょう。
ここで大事になるのが、外注の相手方に対して
「確定申告する必要性がある」旨を通知しているか、
という事実認定の話になります。
「あなたは外注先であって従業員ではない
(給与ではない)ので確定申告が必要です」
という旨を相手方に、書面もしくはメール等で
明確に伝えていれば、少なくともこちらは
外注として認識していたことが明らかになります。
もちろん、外注と主張するためには
「業務委託契約書」など契約書があった方がいいですし、
その内容に、上記確定申告を要する旨の
記載があった方がより良い状況を作出できます。
契約書があるから外注、というわけでありませんが、
この点も同じで外形・形式を満たした方が有利です。
また、外注と主張するためには、「請求書」を
発行してもらうべきでしょう。
通常の取引先であれば、毎月請求書が発行されており、
その内容通りに支払いがされているわけですから、
従業員ではないと主張するためには、
他の取引先と同様のことをしておく方がいいです。
くだらない議論と言われそうですが・・・
外注への支払日程・サイトを従業員と
同じにせず、取引先と同じにすべきです。
例えば、
・従業員への給与支払:末締の翌10日払い
・取引先への支払:末締の翌末日払い
となっている場合、あくまでも外注ですから、
末日払いにしている方が、外注費である
(給与ではない)と主張しやすくなります。
外形・形式基準だからといってバカにせず、
否認(指摘)されにくいようにしておきましょう。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。