威圧的な税務調査
※2012年9月の当時の記事です。
先日、衝撃的なニュースが流れました。
新聞記事でも取り上げられた裁決なので、
すでにご存じの方も多いかと思います。
この裁決事例は今後「川崎汽船事件」と呼ばれるのでしょうか。
「大阪国税局が威圧調査 不当性認め所得隠し指摘取り消し」
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201209070058.html
「大阪国税が威圧調査 不服審「怒声、回答誘導」」
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120908-OYO1T00334.htm?from=main3
「国税職員が「威圧と誘導」 大阪局、不服審判所指摘」
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20120907/Kyodo_BR_MN2012090701001762.html
国税不服審判所で納税者が勝ち、
追徴税額の6億円が還付されたそうです。
この裁決事例は最新(2012年9月時点)すぎるため、まだ詳細まで公開されていませんが、
主旨としては「法令での争い」ではなく、「税務調査の手続き」です。
この記事を見て、私の正直な感想は、
「いまだにこんな税務調査が行われているのか!?」
という驚きと同時に、「まあ現場(調査官)のレベルも
こんなものか」という落胆もありました。
私のところには全国から税務調査の相談が来ますが、
春以降の相談だけでも2件、税務調査で脅し等を
かけられて対応に困っている事案がありました。
これらの事案は、怒声まではいかないものの、
実質的には「威圧と誘導」に違いありません。
私の中ではパターン化されているのですが、
「納得いかないので修正申告しません。
更正してください」と主張すると、
調査官は下記のいずれかの「威圧」をかけて、
修正申告に「誘導」しようとします。
①「税務調査が長引きますよ」
経営者が嫌がる典型的な言葉です。ただでさえ、
得することがない税務調査で、さらに時間が
とられると思うと、誰でも心が折れそうになります。
②「反面調査に行きますよ」
今までは反面調査に行かなかったのに・・・
反面調査をかけて取引先・銀行との信用・信頼関係を
失墜させることを威圧してきます。
③「修正より税額が増えますよ」
最終的に、「修正申告であればこの金額ですが、
更正となると全部チェックしなければならないので、
税額は増えます」と言いきってきます。
「威圧と誘導」に屈しないためには、
下記の項目を知っておかなければなりません。
・税務調査はあくまでも任意
(納税者の協力と理解を得て行われるもの)
・質問検査権の範囲
(もちろん脅しや威圧などは論外)
・更正と修正申告に税額等の違いなどない
(行政手続法第32条第2項)
すでに知っている方も、過去のメルマガなどで
ぜひ復習しておいてください。
「そんな不当な税務調査なんてあるの?」
と疑っている税理士ほど、不当な税務調査の
正しい対応方法を知らないのもまた事実ですから。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
2012年9月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。