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2015.10.07

審査請求と原処分取消訴訟

こんにちは。日本中央税理士法人の見田村元宣です。

さて、今回は「審査請求と原処分取消訴訟」です。

いつもは具体的な裁決、判決をベースに書いておりますが、

今回は上記2つの考え方につき、お伝えしていきます。

この2つは似たような手続きでありながら、いくつか違う点もあり、

その中から税理士が知っておくべきポイントを解説したいと思います。

1、請求人にのみ認められている権利

(1)請求人は閲覧請求ができる

請求人は原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧請求ができる。

(国通法96条2項、原処分庁からの物件の提出及び閲覧)

審査請求人は、担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、担当審判官は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

(2)請求人には担当審判官に対する口頭意見陳述が認められている

(国通法84条1項、決定の手続等)

異議審理庁は、異議申立人から申立てがあつたときは、異議申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。この場合において、異議申立人は、異議審理庁の許可を得て、補佐人※とともに出頭することができる。

(国通法101条1項、異議申立てに関する規定の準用等)

第八十四条第一項から第五項まで(決定の手続等)の規定は、審査請求の審理及び裁決について準用する(以下、略)。

(3)請求人は弁護士、税理士等を代理人※に選任することができる

(国通法107条1項、代理人)

不服申立人は、弁護士、税理士その他適当と認める者を代理人に

選任することができる。

※ 補佐人や代理人は税理士などの資格がない者でも問題なし

2、裁決の拘束力

請求人は裁決の内容に不服がある場合には裁判に訴えることができるが、原処分庁は裁決の内容がどうであれ、訴訟に持ち込むことはできない。

(国通法102条、裁決の拘束力)

裁決は、関係行政庁を拘束する。

だから、裁決が「全部取消し」の場合は原処分取消訴訟になることはない。

この1、2は納税者有利の片面的手続きですが、審査請求は納税者の

権利救済を目的とした行政手続きだからです。

3、争点主義と総額主義

(1)審査請求における調査、審理の範囲は双方が主張する争点及び

その関連事項に限られる(争点主義)。

たとえば、売上の金額が争点ならば、その部分が調査、審理の対象になる。

(2)裁判は総額主義を採用している。

売上の金額以外に仕入金額に過大額があれば、これも含めて判断される。

4、職権審理主義と弁論主義

(1)審査請求は職権審理主義を基調としているので、双方の主張などだけ

ではなく、担当審判官自らが収集した資料、ヒアリングした事項を基に

裁決をすることができる。

また、双方に争いのない事実であっても検証をしなければならない。

ちなみに、税務調査を担当した調査官が異動した場合でも、異動後の部署に

連絡を取り、ヒアリング等を行なうこともある。

(2)訴訟は弁論主義なので、双方が陳述していない内容は判決の基礎にはならない。また、双方に争いのない事実は検証することなく、判決の基礎としなければしなければならない。

いかがでしょうか?

審査請求や税務訴訟を実際に経験したことがない方も多く、

それだけに実際に行なう場合は戸惑うこともよくあるかと思います。

もし、みなさんが審査請求や税務訴訟を行なうならば、

この考え方を覚えておいてくださいね。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年9月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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