審理が通っているは本当なのか?
※2014年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
先日、私への個別相談があった事案を紹介します。
この事案、何がヒドかったかといえば、
通達の解釈について、税務署内の審理担当者まで
通っている、という話でした。
【事案内容】
・法人で2ヵ所の事業所がある(まったく別の事業内容)
・事業所Aは7人が在籍、事業所Bは4人が在籍
・事業所Bの全員で社内旅行に行き、損金計上
・旅行参加者が会社全体の半数に満たないという理由から
損金を否認、給与課税との否認指摘を受けた
【根拠】
所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益・・・・・使用者が
負担するレクリエーションの費用)の運用について(法令解釈通達)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/880525/01.htm
「(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等
(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)
の50%以上であること。」
このカッコ書きの適用があるか、つまり通達の解釈論
になったわけですが、前述のとおり、調査官は
署内の審理まで通っていると言い、実質的に
反論が受け付けられない状況になっていました。
私が作成し、実際に税務署に提出した「抗弁書」については
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この事案、税理士が書面を持って税務署に訪問。
調査官と統括官を前に読み上げ、説明したところ、
「その場で」否認指摘を取り下げられたのです。
あれほど「審理も通っている」と主張していたにも
かかわらず、審理にも確認せず、否認指摘を
取り下げるというのはどういう状況だったのでしょうか?
そもそも本当に「署内の審理まで通っていたのか?」、
また「通っていたとして、それがどこまでの権限を
持っているものなのか、反論が不可能なのか?」という点です。
あくまでも推測の域をでませんが、
上記の事案について私は下記のように考えています。
・調査官は審理に確認した
・審理担当者は判決・書籍等を調べたが
この論点で明確な答えは載っていなかった
・審理担当者の「個人的解釈」が調査官の意見と一致した
・調査官はこの事実をもって「審理も通っている」と主張した
・しかし(更正できるほど)明示できる根拠はなかった
こう考えると、調査官が言っていることは
ウソではないにしても、審理が通ったことと、
課税根拠が明確であることはまったくの別物で
あったことは事実というわけです。
審理担当者が本当の意味で「通す」というのは、
国税局に照会をかけ、他の過去事案等も含めて検討し、
統一見解を出したときであって、署の審理担当者が
単独で出した個人的見解は「通った」とは言えません。
他の事案でもよく「審理ですでに検討したのでムリです」
と言い切る調査官がいますが、これはウソとは
言わないまでも、その効果・効力なんて
意味がない、といえます。
調査官の言葉にダマされてはいけません。
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