専従者給与は「実際に支払われた」が要件
※2018年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
個人事業主の申告をする上で、
青色専従者給与における注意点を解説します。
青色専従者を毎月一定額支払っている場合は
当然に何ら判断が必要なく計上ができるのですが、
「これって専従者給与で計上できるの?」と
判断が必要になってくるケースがあります。
まず、今更ではありますが、青色専従者給与の
要件を国税庁のサイトで確認ください。
No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2075.htm
ここにある「2 青色事業専従者給与」には
4つの要件が載っていますが、
(3)には注意が必要です。
「(届出に)記載されている金額の範囲内で
支払われたものであること」
専従者給与は所得税法第57条に規定されて
いますが、そこには「給与の支払」とされており、
実際に支払いを行っていることが要件となります。
ですから、法人の役員報酬などとは違って、
原則として未払い計上は否認対象となります。
もちろんこれは原則的な取り扱いですので、
「相当の理由」がある場合は、
未払いでもいい、とされています。
この「相当の理由」ですが、
所得税の書籍やデータベースを見ると、
下記のように説明されていることが多いです。
「専従者給与の未払金については、未払となった
原因が例えば、資金繰りの関係で、たまたま、
支給期に支払うことができなかつた場合など
未払となつたことについて相当の理由があり、
しかも、帳簿に明瞭に記載され、相当期間内に
支払が行われるものであれば、一時的に
未払の状態になつていたとしても、必要経費に
算入することができます。しかし、本来
必要経費に算入される青色専従者給与は、
現実に給与として支払われるものであることが
前提ですから、例えば、長期間未払給与が
累積していくような場合や相当期間未払のまま
放置されているような場合のように、現実に
支払の事実がないと認められるような場合には、
必要経費に算入することができないことになる
ものと考えられます」
ですから、給与支払いの事実がないのに
専従者給与を計上することは、
そもそもムリがある、というわけです。
税務調査において、(専従者)給与が
銀行振込でなく現金支払と主張する場合、
事実認定の問題になろうかとは思いますが、
明確な出金履歴でもない限り、
調査でモメる可能性が高いものと思います。
青色専従者給与については、法人の処理と
ごっちゃに理解している方も多いのですが、
支払いの実績なく(届出の範囲内で)
未払計上するのは相当ムリがあるので
注意が必要ということです。
確定申告の際には、この点
ぜひ注意してください。
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