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2025.03.14

小規模宅地等の特例(平成25年度税制改正)

※2024年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは、
「小規模宅地等の特例(平成25年度税制改正)」です。

突然ですが・・・
相続税の基礎控除が引き下げられたのは
いつからか記憶にありますでしょうか。

かなり昔の話になりますが、
平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により
取得する財産に係る相続税について
適用されています。

ただし、税制改正法案が成立したのは
平成26年度ではなく、平成25年度になります。

相続税・贈与税関係の大改正となった
税制改正の年と言えます。

■相続税の改正
1.遺産に係る基礎控除の引き下げ
→ 4割カット(増税)

2.相続税の税率構造
→ 最高税率の引上げ(増税)

3.税額控除の控除額の引上げ
→ 未成年者控除・障害者控除の控除額が引上げ(減税)

4.小規模宅地等の特例
→ 限度面積の引上げなど(減税)
→ 一部の改正につき、平成26年1月1日施行

■贈与税の改正
1.相続時精算課税
→ 適用対象者の拡大(孫を対象者に含む)(減税)

2.暦年課税の税率構造
→ 最高税率の引上げ(増税)
→ 特例税率の導入(減税)

■相続税・贈与税の改正
1.事業承継税制
→ 適用要件の緩和、手続の簡素化(減税)

このように、現在の税制では適用されている
かなりの部分の改正が平成25年度税制改正で
行われたことが確認できます。

上記の改正項目のうち、
1年前倒しとなる
平成26年1月1日以後に適用された
「小規模宅地等の改正」を
少し取り上げます。

(1) 二世帯住宅に居住していた場合
(2) 老人ホームなどに入居又は入所していた場合

その中でも、(2)を確認します。

財務省:税制改正の解説
・租税特別措置法等(相続税・贈与税関係)の改正
以下、P587の一部を抜粋します。
―――
被相続人が有料老人ホームに入居していた場合には、

終身利用権を取得した場合など、
老人ホームに入居する前に居住していた家屋の敷地について

この特例が適用できない場合がありましたが、

老人ホームに入居したことにより

被相続人の居住の用に供されなくなった

家屋の敷地の用に供されていた宅地等についても、

一定の要件の下、相続の開始の直前において

被相続人の居住の用に供されていた場合と同様に

この特例の適用が可能とされました。
―――

小規模宅地等の特例は、居住の用、事業の用ともに
「相続開始直前の判定」をもとめるものです。

自宅を離れ、老人ホームに入居するということは
相続開始直前の居住の用に供していたのは

老人ホームであるため、自宅敷地につき、
小規模宅地等の特例を適用できませんでした。

ただし、終身利用権を取得していない等、

一部の例外的扱いはありましたが、

原則としては認められない状況でした。

しかしながら、特別養護老人ホームへの

入居を希望しつつも入居できなかったため、
やむを得ず終身利用権を取得し
有料老人ホームに入居した場合にまで
特例適用を認めないということを問題視され、

平成25年度において改正されることになりました。

租税特別措置法69条の4(1)における
居住の用の後に()を追加して
老人ホーム入居に対する手当を行いました。
―――
居住の用(居住の用に供することができない事由として
政令で定める事由により相続の開始の直前において
当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合
(政令で定める用途に供されている場合を除く。)
における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の
当該被相続人の居住の用を含む。同項第2号において同じ。)
―――

イメージとしては、
相続開始直前で判定が原則であるのに対して、
老人ホームに入る直前での判定に切り替わった

と考えると非常に理解しやすいかと思います。

つまり、
老人ホームに入る直前に居住の用に供されていれば、

小規模宅地等の特例の入口に辿り着く訳です。

実務上は、その他要件もありますので
適用可否の判定には注意を要します。

参考:国税庁 質疑応答事例
老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例
(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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