平成25事務年度 法人税等の調査事績の概要
※2014年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
毎年国税庁から発表されている、税務調査の状況(数字)
「平成25事務年度 法人税等の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2014/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf
今日のブログでは、発表された内容から
把握しておくべき点をまとめて解説しましょう。
なお、「平成25事務年度」とは、
平成25年7月~平成26年6月を指しています。
①調査の件数は減っている
国税通則法の改正で調査手続きが煩雑になった影響により、
平成25年以降に行われる税務調査の件数が激減したのですが、
直近でもさらに減っています。
おそらくこのあたりで下げ止まり、
今事務年度も同じ程度の件数になるものと思います。
②実地調査率
平成25事務年度の法人申告件数が約270万社であることから、
実地調査率は「約3.3%」であることがわかります。
実地調査率は過去最低の数字となっており、
国税側は今後ますます、実地調査率を
上げる方策を考えてくるものと思われます。
100法人あっても、年間に3件程度しか
税務調査を実施できていないのですから、
客観的に考えても相当に問題です。
③不正発見割合
私が毎年もっとも気にしているのが「不正発見割合」。
税務調査における重加算税の賦課率なのですが、
前事務年度から上昇し、18.6%となっています。
前事務年度までは、20%超から毎年下がっていたのですが、
ここにきて微増したことになります。
私は個人的に、この数字はまだまだ異常に高いと思います。
約2割もの会社が「仮装・隠ぺい」行為をしているとは
到底考えられないからです。
④無所得申告法人に対する調査
このあたりが統計的に見ると面白いところでしょう。
全体として、91千件の税務調査を実施しており、
所得が出ていない=赤字法人に対する調査を35千件
しているわけですから、法人の調査全体で考えると、
38%の調査が赤字法人を対象にしています。
もちろん、赤字法人が全体の約7割超ですから、
赤字法人に調査が入りにくいのは間違いないでしょうが、
赤字法人に対する不正発見割合が22.8%と、
普通より高いことも注目すべきでしょう。
⑤公益法人に対する調査
ちょっと意外だったのが、公益法人に対する調査件数が
かなり減っているという事実です。
法人・消費税はともかく、源泉の調査まで減っているのですから
国税側も公益法人への調査を減らす方向性なのでしょう。
なお、法人に対する税務調査について解説しましたが、
個人に対する税務調査に関しては
こちらに載っていますので、ご覧ください。
「平成25事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2014/shotoku_shohi/index.htm
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