弁護士の立会は?
今回のテーマは、『弁護士の立会』です。
先日とある税理士から相談を受けました。
「もう半年以上税務調査が行われており、
税務署側も譲れない部分が明確している段階なのですが、
こちら(納税者側)も金額が多額で折れる意思がない。
これはもう訴訟までいくだろうから、
私(税理士)ではなく弁護士の立会に
切り替えたいのですがどう思いますか?」
なるほど、税理士側からしても訴訟にいくのを
前提になっている状況では、早めに弁護士に
切り替えてもらった方がいいのでしょう。
結論から申し上げるに、税務調査において
弁護士の立会はやめておいた方が無難です。
もちろん弁護士は、弁護士法第3条に基づき、
依頼があれば法律業務として当然に
税務調査に立会うことは可能です。
しかし調査官からすれば弁護士に代わったということで、
今まで以上に身構えて調査をします。
調査官も弁護士が出てきて、今まで主張していたことを
引っ込めるのであればいいのですが…
逆効果になることの方が多いはずです。
私も国税時代に1度、納税者と見解が全く合わず、
数度目の調査時に弁護士が同席したことがあります。
当初はビックリしましたが、訴訟までいっていいということだな!
と思い、そこからさらに深度ある調査をしました。
訴訟を前提にすれば、もちろんその証拠となる
裏付けをしっかり取り始めるので、
普段の税務調査より厳しく対応せざるを得ません。
・帳票類を全てコピー
・質問に対する回答を全てメモ
・反面調査(銀行を含む)
弁護士が立会になることで納税者にとっては、
①税務調査の対応により時間がかかる
②弁護士費用がかかる
③訴訟になれば莫大な費用がかかる
と正直良いことはないのです。
税理士だけで税務調査の立会を続け、訴訟になれば
弁護士との連携をすればいいのであって、表だって
税務調査の現場に弁護士は出るべきではないでしょう。
さらに言えば、「税務調査は交渉」なのであって、
弁護士に代わったところで、何ら有利に交渉が進むとは思えません。
関与先から弁護士立会の依頼があった場合は、
上記のことをよく説明してください。
※2011年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。