役員退職給与における最終報酬月額
※2015年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
日本中央税理士法人の見田村元宣です。
さて、今回は「役員退職給与における最終報酬月額」ですが、
平成22年4月6日の裁決を取り上げます(以前のブログ「代表取締役の妻の退職と在任年数」と同事例)。
以前のブログでは「在任年数」の件を取り上げましたが、
今回は同裁決から「最終報酬月額」に関する部分を取り上げます。
なお、在任年数は以前のブログで解説した通り、請求人の主張が認められて
いますが、最終報酬月額については認められませんでした。
本件の退職した役員(代表取締役の妻)の最終報酬月額は500,000円
だったのですが、役員退職給与の相当額の計算上、請求人は「妻の貢献度を
考えると、政策的に増額してこなかった本件最終報酬月額は低額であり、
特別な場合に該当するため、本来支給されるべきであったと認められる報酬
月額1,016,667円」(以下「■■■類似業種報酬2」 という。)を
最終報酬月額に代えて採用すべきである。なお、■■■類似業種報酬2は、
■■■類似業種報酬1が鉄鋼業に係る額であったため、請求人の業種である
金属製品製造業に係る額に改訂したものである。」と主張しました。
これに対し、国税不服審判所は下記と判断しました。
○請求人は、妻の貢献度を考えると政策的に抑えてきた本件最終報酬月額は
低額であり、本来支給されるべきであったと認められる■■■類似報酬月額2
を採用すべきである旨主張する。
○ところで、法人と役員の関係は委任関係にあり、その報酬は法人の業績、
当該役員の法人に対する貢献度などを基に支給されると解されるところ、
最終報酬月額は、客観的にそれが明らかに不相当に低額であると認められる
などの特別な場合を除き、一般的にその役員の法人に対する貢献度を最もよく
反映した指標として採用できるものと解される。
○本件についてみると、妻の役員報酬は、相当の期間、報酬額の変更がされて
おらず、退職間際に引き下げられた事実もなく、さらに、本件最終報酬月額が
■■■以外の役員の報酬月額と比較して格別低額であるとは認められない。
○しかも、請求人の主張する■■■類似報酬月額2は、妻に対し実際に支給
された報酬額ではなく、■■■による統計上の数値であり、当該統計の対象と
なった各法人に対する各役員の貢献度と請求人に対する妻の貢献度を比較する
方法は存在しないのであるから、これを妻の請求人に対する貢献度を表す指標
として本件における役員退職給与の相当額の算定の基礎にそのまま採用すべき
とする理由もないというべきである。
○よって、妻の請求人に対する貢献度が本件最終報酬月額に適正に反映されて
いないことを客観的に示す事実やそれを裏付ける証拠は認められない以上、
妻の役員退職給与の相当額を算定するに当たり、■■■類似報酬月額2
(1,016,667円)を基礎とすることは相当でなく、妻の取締役退任時
の報酬月額である本件最終報酬月額(500,000円)を採用するのが相当
である。
いかがでしょうか?
「死亡退職した役員Aの役員報酬月額5万円は、Aが設立した会社の取引先や
Aの事業経験を原告会社に引き継がせたことからすると、Aの功績を適正に
反映したものとしては低額に過ぎ、平均功績倍率法の適用上、Aの適正報酬
月額は、原告代表者B(Aの長男)の報酬月額の平均額の2分の1の額とする
のが相当である」と判示された事例(高松地裁、平成5年6月29日)も
ありますが、特別な事情が無い限り、最終報酬月額は額面通りで計算されます。
当然ですが、役員退職給与の算定上、最終報酬月額は重要な要素ですので、
過大役員退職給与という論点に発展しないよう、最終報酬月額には気を付けて
おくべきなのです。
なお、最終報酬月額に関する他の事例として、岡山地裁(平成元年8月9日)、
仙台高裁(平成10年4月7日)、裁決(昭和46年3月31日)、裁決(
昭和57年4月26日)などがありますので、併せてご確認ください。
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