意見聴取で省略にならない場合はこう対応する
※2018年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回は、書面添付をしている場合の「意見聴取」
について、解説しましょう。
まず、関西の税理士さんからもらった情報を
資料として載せておきます。
「平成27年度書面添付実績」
http://inspireconsulting.co.jp/sharefile/syomenjiseki_5128.pdf
法人においては、(全国平均でみると)
意見聴取からの「実地調査省略割合」が
50%以上で推移していることがわかります。
さて、書面添付をしていても、
実地調査への移行が前提になっている(と思われる)
意見聴取というものが存在するから困ります。
つい先日あった、実際の相談です。
〇売上約20億円の有所得の法人
〇前回は平成26年7月に意見徴収があり、
調査が省略となった
〇今回は特官から連絡があり意見聴取
〇意見聴取の後に「前回は調査省略だったので、
今回は調査をさせてほしい」と言われた
この特官が考えていることはわかりますが、
これでは書面添付の意味はありません。
意見聴取において、このような場合に、
どう対応・主張すべきでしょうか。
まず前提として、書面添付の内容に基づき、
具体的な指摘があり、それを説明・解明できれば
実地調査にならない、というのが
書面添付制度の大前提となります。
これを税理士がいくら言葉で主張しても
通りづらいので、下記の2つを印刷して
提示・提出することが有効になります。
「書面添付制度について
(33条の2の書面及び35条の意見聴取)」
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/kentoukai/02.htm
「事前通知前の意見聴取の段階で疑義が解消し、
結果として調査の必要性がないと認められた
場合には、納税者の事務所等に臨場して行う
帳簿書類の調査に至らないこともあり得る。」
「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての
基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/090401/01.htm
「こうした制度の趣旨・目的を踏まえつつ、
意見聴取により疑問点が解明した場合には、
結果的に調査に至らないこともあり得ることを
認識した上で、意見聴取の機会を積極的に
活用し、例えば顕著な増減事項・増減理由や
会計処理方法に変更があった事項・変更の理由
などについて個別・具体的に質疑を行うなどして
疑問点の解明等を行い、その結果を踏まえ
調査を行うかどうかを的確に判断する。
なお、意見聴取における質疑等は、調査を行うか
どうかを判断する前に行うものであり、(略)」
このように、実地調査を行うことを前提とした
意見聴取はあり得ない、というのが
書面添付制度の【趣旨・目的】ですから、
ここから外れている場合は、上記を
根拠に主張することになります。
売上など規模が大きいと意見聴取では
省略にならない、などと言われがちですが、
そんなことはありません。
意見聴取を形式的にして、実地調査に
移行するのを前提にしている国税の方に
問題があるということです。
ぜひ、根拠をもって主張・反論してください。
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