意見聴取の正しい受け方
※2016年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
11月に入り、書面添付がある申告に対する
意見聴取が多数行われる時期になりました。
書面添付している最大の理由は、実地調査に移行
しない(させない)ことでしょうから、
意見聴取における税理士の対応が大事になります。
まず、意見聴取における国税の内規を
知らなければ、対応方法はわかりません。
書面添付と意見聴取に関しては、
3つの事務運営指針が公開されています。
「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての
基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/090401/01.htm
「個人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての
基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/shinkoku/090401/01.htm
「資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての
基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sozoku/090401/01.htm
これら事務運営指針の「法人税」に関する
規定内容から重要事項を解説します。
(他の税目でも対応方法は同じです)
意見聴取の内容はこう行われると規定されています。
「意見聴取は、税務の専門家としての立場を尊重して
付与された税理士等の権利の一つとして位置付けられ、
添付書面を添付した税理士等が申告に当たって
計算等を行った事項に関することや、意見聴取前に生じた
疑問点を解明することを目的として行われるものである。
したがって、こうした制度の趣旨・目的を踏まえつつ、
意見聴取により疑問点が解明した場合には、結果的に
調査に至らないこともあり得ることを認識した上で、
意見聴取の機会を積極的に活用し、例えば
顕著な増減事項・増減理由や会計処理方法に
変更があった事項・変更の理由などについて
個別・具体的に質疑を行うなどして疑問点の解明等を行い、
その結果を踏まえ調査を行うかどうかを的確に判断する。」
事務運営指針では具体的に、何がどうなれば
実地調査に移行するかは規定されていませんが・・・
この規定内容から意見聴取を受ける際に大事なことは、
【意見聴取で調査官の疑問点が解明されれば】
実地調査に移行しないことになります。
逆に言えば、意見聴取で調査官の質問等に対して
答えることができなければ、実地調査に
移行する確率が上がる、ということです。
ですから、意見聴取の対応では、
「わからない」とは絶対に言わないことです。
税理士が「わからない」と言ってしまえば、
調査官も「じゃあ調査するしかないですね」
となってしまいますので。
意見聴取時に、税理士が内容を把握しておらず、
納税者(顧問先)に聞かなければわからない
論点では、「顧問先に確認してから
正式に回答させてください」と伝えてください。
意見聴取は原則として税務署で行われますが、
何もその場ですべての疑問点等が
解消される必要性はありません。
持参した資料が不足している場合もあるでしょうし、
書面添付への記載内容ならともかく、それ以外の
事項について質問されれば、すべて
その場で回答できるわけではないでしょう。
この点、意見聴取をする担当官(通常は統括官)
も理解しています。
意見聴取のNGワードは「わからない」です。
何としても意見聴取の中で、調査官の
疑問点を解消するように努めれば
省略(実地調査に移行しない)率は上がるのです。
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