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2023.01.13

成年年齢引下げが税務にもたらす影響場面の検証(資産税詳細)

※2022年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

前回に引き続き、「成年年齢の引下げ」による
税務(資産税)等への具体的影響場面を検討します。

今回は、改正項目の影響場面をピックアップしていきます。

1.未成年者控除(相法19の3)

改正後において開始した相続における未成年者控除については、
以下の算式になります。

未成年者控除 = 10万円 ×(18歳 - 相続発生時の未成年者の年齢)

既に未成年者控除を受けたことがある場合、
次の相続の際に控除できる金額は、前回の控除不足額の範囲内に
限られることになります(相法19の3(3))。

ただし、この特例には経過措置が設けられています
(平成31年改正法附則23(2))。この経過措置は、
過去に控除額が改正された時(平成25年度税制改正&平成27年1月1日施行)
の経過措置と同様のものになります。

■計算例

適用1回目(平成29年9月相続開始)で
未成年者相続人が4歳(相続税額50万円)
→ 10万円 ×(20歳 - 4歳)= 160万円
  ∴ 相続税額50万円- 未成年者控除50万円 = 納税額0

適用2回目(平成4年10月相続開始)で
未成年者相続人が9歳(相続税額110万円)
→ 10万円 ×(18歳 - 4歳)= 140万円
→ 140万円 - 50万円(1回目適用分)= 90万円(残枠)
  ∴ 相続税額110万円 - 未成年者控除90万円 = 納税額20万円

2.相続時精算課税適用者の要件(相法21の9、措法70の2の6)

受贈者が「推定相続人(子)である場合」及び「孫である場合」につき、
贈与日の属する年の1月1日現在「20歳以上」であったものが、
令和4年4月1日以降では「18歳以上」と引下げられます。
相続税と贈与税の一体化議論の動向にもよりますが、
相続時精算課税制度の早期活用につながる可能性は残ります。
クライアントへの周知徹底が望まれます。

3.直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた場合の
贈与税の税率の特例(措法70の2の5)

暦年贈与制度における特例税率が適用できる受贈者の年齢が引下げられます。
上記2と同様、令和4年4月1日以降では、贈与日の属する年の1月1日現在
「18歳以上」となります。

そのため、相続税と贈与税の一体化議論の動向にもよりますが、
暦年贈与の駆け込み需要も予想されますので、
上記2よりもクライアントに与える影響は大きいものと考えます。

4.非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除(措法70の7)

5.非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例(措法70の7の5)

これら(一般版、特例版)につき、贈与時の受贈者の年齢要件
(措法70の7(2)三イ、措法70の7の5(2)六イ)につき、
贈与日において「20歳以上」であることから、令和4年4月1日以降の贈与では、
「18歳以上」に引下がります。

成年に達してすぐに実質的な代表者に就任することは考えにくいですが、
中継ぎ代表が並列して存在する場合も可能性としては残りますので、
クライアントへの周知徹底が望まれます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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