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2025.02.07

扶養控除の対象範囲と判断に迷いやすい事例(中編)

※2024年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜の本メルマガでは、所得税の確定申告において
【扶養控除】の判定について解説しましたが、引続き
判断に迷いやすい論点および具体例を解説します。

さて、前回は扶養控除の判定において「扶養親族に該当するか」
を論点にしましたが、今回は「生計を一」かどうかです。

私も先日質問されて判断に迷った扶養控除の判定として、
「離婚して送金してる父親は別居の子供を扶養控除できるか?」
という内容があります。

私がまず迷ったのは、離婚し妻側が引き取った子供は、
離婚した父親からすると「親族」に該当するのかです。

相続を想起していただくとわかりやすいのですが、
離婚して別居している子(実子)がいる場合、
元配偶者に相続権はない一方で、子供(実子)は
法定相続人(の第1順位)になることから、離婚しても
子供は子供であることが理解できます。

整理すると、離婚した場合、婚姻関係は解消され
配偶者ではなくなるわけですが子は1親等の血族のままです。

次に扶養控除がとれるかの論点は離婚した妻と同居している
子供が元夫と「生計を一」にするといえるかが論点になります。

この論点に対して、国税庁の質疑応答事例では、
離婚に伴う養育費の支払いが、

・扶養義務の履行として支払われる場合
・子が成人に達するまでなど一定の年齢等に限って支払われる場合

であれば扶養控除になると解説しています。

国税庁サイト「生計を一にするかどうかの判定(養育費の負担)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/65.htm

また、国税庁のタックスアンサーにおいて、
扶養控除の範囲等について8つの質疑応答事例が
公表されていますので、下記も併せて参考にしてください。

国税庁タックスアンサー「No.1180 扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180_qa.htm

前回の本メルマガで解説した、親族の範囲なども
整理・解説されています。

さて、「生計を一とする親族」として扶養控除の対象
であることは確実としながらも、判断を誤りやすい
事例も取り上げておきます。

国税職員向け(内部の)質疑応答事例集において、
扶養控除の誤りやすい事例として毎年取り上げられている
項目として、入院・老人ホームに入居など別居する親を
「同居老親等」(控除額58万円)とできるかが挙げられます
(「同居老親等以外の者」であれば48万円)。

この判定・基準はシンプルで、

●入院:同居老親等
(1年以上といった長期にわたるような場合も含む)

●老人ホーム等へ入所:同居老親等以外の者
(親の居所は老人ホームとなる)

となります。

国税庁サイト「「同居」の範囲(長期間入院している場合)」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/32.htm

また、医療費控除の対象者も、同じく「生計を一にする親族」
かどうかが判定基準となります。医療費控除の要件として
「自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の
親族のために医療費を支払った場合」だからです。

扶養控除にしていない生計を一にする親族の
医療費を負担した場合に、負担者の医療費控除と
することができるのか等、意外に判断が難しい事例も
多いので、国税庁の質疑応答事例を複数挙げておきます。

タイトルを見て「確かに判断に迷う」「知りたい」と
思った項目だけでも参照してください。

「共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/25.htm

「父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/83.htm

「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/58.htm

「姉の子供の医療費を支払った場合」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/82.htm

来週水曜の本メルマガでは、扶養控除の判断に迷いやすい
事例解説の最終回として、扶養控除の事後的変更は可能か、
さらに事業主は専従者の配偶者控除の対象になるのか、
について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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