抗弁書の出し方
このブログでは常に、「モメた」税務調査において書面で反論すること、そしてその回答は書面でもらうことを強調し続けています。
(モメていない税務調査まで書面でやり取りする必要性はありません)
否認指摘に対して書面を提出するのは、ほとんどの税理士がやったことがなく、「フォーマットなどありませんか?」とよく聞かれるのですが、
別にフォーマットはないですし、書くべき内容を書くだけなのです。
私は反論する書面のことを「抗弁書」と呼んでいますが、
別に呼び方は何でも構いません。そこが重要ではないのです。
さて今回のブログでは、抗弁書を出す際に気を付けるべきことを書いていきます。
まず確認ですが、書面を出すということは
・証拠を残す
・否認指摘やその反論根拠を明確にする
という効果があるのですが、それらの効果をきちんと出すためには、
下記の事項を守らなければ意味がありません。
【抗弁書を提出する際に気を付けるべきこと】
①対面で説明してから提出する
抗弁書(書面)の提出というと、「郵送ですか?」を聞かれるのですが、
そうではありません。逆に、郵送してしまうと
内容の説明等ができないため、伝えるべき内容が伝わらない結果になりがちです。
抗弁書を作成したら、書面を持参して税務署に出向くことです。
抗弁書の内容を読み上げながら、対面できちんと説明すること。
そのうえで、抗弁書の内容を税務署側がちゃんと
理解したかどうかを確認しなければなりません。
②統括官同席で書面を出す
税務署に出向く際に気を付けるべきは、担当の調査官だけではなく、
上司(決裁者)である統括官の同席を求めてください。
調査官には決裁権がないため、調査官にだけ書面を出しても効果が薄くなります。ヒドいケースになると、調査官が統括官に復命(報告)しない可能性もあるのです。統括官の同席があってはじめて抗弁書の提出をしなければなりません。
統括官であれば、書面の内容に対してその場で
何らかの回答・確約を得られる可能性があります。
③書面での回答を求める
こちらが書面で提出しているのですから、税務署からの回答も
書面でもらわなければ意味がありません。
しかし書面での回答を求めると、税務署は明らかに嫌がります。
税務署が書面を出すということは、課税庁の公式見解であって、
その書面をホームページなどで公開されても、
納税者に文句を言いようもないということになります。
しかし、それでも「絶対に」書面での回答を求めてください。
「回答がきちんとしたものであれば、書面で出すことはできますよね?」
と主張することです。その後電話がかかってきても、
書面以外の回答は受け付けられません、と言い切ることが大事です。
④提出することに意味がある
通常書面を提出した場合、法定書式ではなくても収受印をもらうものです。しかし、税務調査の反論に使う抗弁書については
特段、収受印をもらうことを目的にする必要はありません。
統括官・調査官に、否認指摘に対する反論内容・根拠を
伝えることが最大の目的ですので、「収受印をもらえないと困る」
のような対応は不要です。
⑤録音する
これは通常の税務調査と同じですが、「絶対に」録音してください。
いくら書面で提出するとはいえ、どうしても
「言った言わない」の争いが起こる可能性は否定できません。
また「書面で回答する」というのを当日は確約できたにもかかわらず、
後日電話があって「やっぱり書面では出せない」と言われたケースもあります。
録音しておけばそれだけ証拠能力が高まり、
納税者(税理士)有利になるのですから録音は必須です。
※2011年10月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。