日当の否認指摘に反論する方法
※2016年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
数少ない有効な節税方法として、出張日当を
導入している顧問先も多いかと思います。
1万円を超える出張日当を設定している場合、
会計事務所からすると「税務調査で指摘されたら
どう反論しよう?」というのが、よくある悩みです。
実際のところ、日当の設定金額については
明確な基準はありませんし、驚くことに調べてみると
過去の判決・裁決がほぼないので、税務調査で
更正された、という事案が少ないのが事実でしょう。
かといって、いくらでも設定・支給していいわけではない
ので、日当は税務調査において難しい論点となります。
日当を考えるうえで、1つ大事なポイントは
他社(同規模・同業種)との比較です。
これを考えると、過大役員報酬と同じように
他社の日当金額を知りようがない、ということになります。
(実際に調べてみると、日当の平均額は
非常に低額であることにビックリします)
この考え方では、役員報酬の絶対額から考えて
日当金額の妥当性を主張するしかありません。
役員報酬600万円の社長と、6,000万円の社長が
同じ日当だとは考えられない、と主張することです。
該当する役員の役員報酬が高い場合には、
この主張が有効となります。
また、別の考え方・反論方法も存在します。
そもそも税務には根本的に、水平的公平性と垂直的公平性
という考え方が存在し、これを満たしていない場合
税務上損金等として認められない、と考えられます。
日当におきなおして考えると、ある一部の社員もしくは
役員だけに日当を設定・支給している場合、
それは認められない、と考えるわけです。
(こういう観点から、日当を支給するには社内規定が
必要、となるわけです)
これが水平的公平性の考え方で、もう1つは垂直的公平性。
役員は、新幹線ではグリーン車、海外出張ではビジネスクラス。
一方社員は、普通車・普通席という規定を設けている
会社もあるかと思いますが、この区分けは税務上当然に
許されていて、垂直的公平性を満たしているからです。
税務調査で日当が問題になったときは、
この垂直的公平性の考え方が非常に大事になります。
給与が600万円の社員と、役員報酬6,000万円の社長は、
日当が同額である必要性はなく、数倍の開きがあったとしても
垂直的公平性が担保されていればいい、という考え方です。
上記の判断基準は、何も判決・裁決等で具体的に
明示されたものを引用しているわけではありません。
しかし、上記の主張・説明をすると
調査官は納得しやすい、ということです。
ぜひ、参考にしてください。
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