春の調査事案が7月以降に着手される積極的理由はあるのか?
※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先々週の本メルマガでは「国税内の内示が早まったこと」、
先週の本メルマガでは「春の調査事案が7月以降に流れる」
ことを解説してきました。
では、ここで素朴な疑問がわく方も多いはずです。
「春の調査事案が流れたのであれば、来年春に
調査着手すればよく、わざわざ秋(7月以降)に
着手する必要がないのでは?」
「調査時期の原則に反してまで、今の時期に
調査に着手するのは何か理由があるのでは?」
この疑問に対する回答として、まず調査選定から、
未着手案件を繰り越す場合の流れを解説します。
春の税務調査で選定した先は、いったん
選定した「リスト」として登録することになります。
そうしなければ、反面調査などで重複して接触、
などがあり得るからです。
そのリストから最終的に調査着手しなかったものは、
〇選定リストから外す
〇申送りとして7月以降に着手する
のどちらかになります。
申送りまでする調査選定先については、
・本来は春に着手したかったが他の調査事案が
立て込んでできなかった
・5年の時効で大きな損金が消える
など、積極的な調査理由が考えられます。
一方で、6月中~7月上旬に調査通知を受けて
調査着手が7月中旬以降になる調査事案については、
(先週水曜のメルマガでも解説しましたが)
7月10日以降の【本来の選定前に通知】をすることから、
そこまで着手理由が明確ではなくとも、春の選定リストに
載っているものを通知していることが多いと思います。
これは、「本来であれば申送りするほどでもない」が、
「現時点(6月中~7月上旬)で調査通知するなら、
選定リストの中から優先順位の高いものを選定する」
という考え方です。
そもそも論からすると、税務署としてどうしても
調査に早く着手したい・しなければならない理由が
あったとすれば、春に調査着手をしているはずだと
推定できますので、私の考えでいえば、
「春から流れてきた事案で、6月中~7月上旬に
調査通知がある調査は、むしろ税務署が調査したい
積極的理由はない(優先順位は低かった)」
という調査事案の方が多いと思います。
確かに「資料せんがある」など、積極的理由で
7月以降に着手する調査事案もあるとは思いますが、
一般的にはあまり考えすぎに調査を受けた方が
無難な結果になると思っています。
今年は特に、7月10日より前の調査通知が
多いようなので、ぜひ参考にしてください。
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