更正の請求における義務と税務調査の誘因
※2020年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前々回の水曜メルマガから更正の請求について
解説していますが、今回は納税側の義務と、
税務調査の誘因になることをについて解説します。
まず、更正の請求に関する立証責任は
納税者側にあるとされており、そのため
更正の請求をする場合、所得等が減になる
資料等を提出する「義務」があります。
国税通則法施行令第6条第2項
更正の請求をしようとする者は、その更正の請求
をする理由が課税標準たる所得が過大であること
その他その理由の基礎となる事実が一定期間の
取引に関するものであるときは、その取引の
記録等に基づいてその理由の基礎となる事実を
証明する書類を法第二十三条第三項の更正請求書に
添付しなければならない。(以下、略)
実務上は、添付した書類等に不足があると
判断された場合、税務署が納得できるまで
追加の資料等を提出しなければなりません。
ここで注意すべきは、更正の請求をする場合の
最大のリスクは【税務調査を誘因する】
ことだということです。
もちろん単純な誤りであって、資料等の提示が
容易・明確である場合、過去の是正として
積極的に更正の請求を行うべきでしょう。
税務においては多くの場合、過年度損益修正損
など当期の損失になるケースは少なく、
適正な手続きとして更正の請求をする必要がある
場合がほとんどなのは前回解説しました。
ただし、税務署としては更正の請求の要因・理由が
明確でない場合、前々回のメルマガで取り上げた
更正の請求が認めないとする「通知書」(処分)
を積極的に出すことはできないことから、
資料・口頭での説明からでは内容がわからない
→
税務調査で確認・精査
という判断をしがちです。よくあるケースとして
更正の請求を提出
→
追加資料等を提出する
→
電話等で内容を説明する
→
税務署の担当者が納得しない
→
税務調査に切り替えられる
→
逆に追徴税額が発生する
というパターンがあります。
更正の請求が裏目に出るケースです。
更正の請求をする場合、その減少税額とともに
更正の請求が通るだけの資料等がある
かどうかも含めて提出の判断をすべきでしょう。
なお、逆のパターンである自主修正申告が
税務調査を誘因するかは下記をお読みください。
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