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2016.11.29

更正の請求はできる?できない??

※2016年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

確定申告が終わりました。皆さま、お疲れ様でした。

さて、この次にあるのが、税務署からの連絡。
税務署の机上精査で、申告内容に誤りがあるような場合、
税務署内では「事後処理」と呼ばれている問合せなどが、
3月末〜4月に行われることになります。

この時期に税務署から電話があれば、申告に誤りが
あるのかと、ドキッとしますよね。

さて、確定申告を大量にさばいていると、後になって
自ら申告内容の誤りに気付くケースも多々あります。
このような場合、修正申告or更正の請求になるわけです。

税額が増えるなら無条件に修正申告となりますが・・・
更正の請求は要件が必要なので、注意が必要です。

例えばよくある誤りに、減価償却の是正があります。
当初申告で減価償却費を計上するのを忘れ、
その後更正の請求で対応するケースです。

法人の場合、当初申告で算入していなかった減価償却費を、
後から損金算入したいと考えても、更正の請求はできません。
なぜなら、法人税法の規定により、減価償却費の計上は
損金経理要件が課されているからです(いわゆる任意償却)。

一方、個人の場合、当初申告で算入していなかった減価償却費を
後から必要経費に算入したい場合は、更正の請求ができます。
なぜなら、所得税法上減価償却費は強制償却になっているからです。

では・・・です。
住宅ローン控除の適用漏れはいかがでしょうか?

これについては理解されている方も多いのですが、
住宅ローン控除(などの措置法適用)は、適用する旨の
記載と計算書の添付が義務付けられていますので、
当初申告で適用漏れしてしまった場合には、
更正の請求ができないことになります。

裁決事例でも取り上げられています。

「更正の請求で、住宅借入金等特別控除の適用を求めることは
できないとした事例」(平成19年2月19日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/JP/73/01/index.html

法的には完全にこうなるのですが・・・
実は「実務上」、更正の請求ができる(税務署が
認容している)ケースもあるのでさらに注意が必要です。

給与所得者の場合、確定申告していなければ期限後申告で、
最大5年分の住宅ローン控除を遡って適用できたにもかかわらず、
例えば、医療費控除だけで還付申告している場合、
住宅ローン控除の適用が受けられないことになります。

このような件数は実際のところ多いですし、
住宅ローン控除を適用できないことによる税額の差が
多額になることから、上記のような例では
住宅ローン控除を後で適用することを税務署は認めています。

なおこの場合、更正の請求は法的にできないことになるので、
「更正の嘆願書」を提出することになります。
(書式は更正の請求書を使い、そのタイトル文において
「請求」を「嘆願」に書き換えて使用するのが一般的です)

では、給与所得者であっても2000万円超の要申告者で
あれば、嘆願によって住宅ローン控除の適用はできるのか?
給与所得者以外であればどうなるのか?

このあたりは、税務署に電話などをして、
事前に確認しておく必要があります。明確な線引き
(ここまでは住宅ローン控除の嘆願を認めるなどの基準)は
ないのですが、さすがに事業所得者は厳しいでしょう。

あくまでも、法的にはできない住宅ローン控除の後付けを、
何とかして税務署に認めてもらうわけです。
税務署との交渉は慎重に進めてください。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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