更正の請求書を提出するに当たり2つの注意点
※2018年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
引続き、更正の請求について解説します。
更正の請求をするには、法律要件を満たして
いなければならないことを前回解説しました。
(1)法律の規定に従っていなかった場合
(2)計算誤りがあった場合
のどちらかに該当しなければなりません。
ですから、更正の請求書における
「更正の請求をする理由、請求をするに
至った事情の詳細等」の欄には、
上記の要件のどちらかを満たしていることを
きちんと明記する必要があります。
ここは実務上、文章力が必要なところで、
更正の請求を処理する税務署の職員が、
法律要件を満たしていないのでは?と
感じると還付処理が遅くなる、もしくは
無駄な問い合わせが増えることになります。
なお、更正の請求書において、理由・事情を
記載する欄はかなり小さい・狭いので、
別紙で付けても実務上は問題ありません。
そしてもう1つ、更正の請求をするに
当たって注意すべきことは、
「証明書類の添付義務」です。
税理士・会計事務所からすると、
税額がマイナスになる(還付)だけの手続き
なので、金額を正確に記載すればいいだけ、
と考えがちですし、また修正申告であれば
「証明書類の添付義務」がありませんから、
更正の請求も不要と考えてしまうところです。
更正の請求において、「証明書類の添付義務」
は法律で定められています。
国税通則法施行令第6条第2項
更正の請求をしようとする者は、
その更正の請求をする理由が課税標準たる所得が
過大であることその他その理由の基礎となる事実が
一定期間の取引に関するものであるときは、
その取引の記録等に基づいてその理由の基礎となる
事実を証明する書類を法第二十三条第三項の
更正請求書に添付しなければならない。
その更正の請求をする理由の基礎となる事実が
一定期間の取引に関するもの以外のもの
である場合において、その事実を証明する
書類があるときも、また同様とする。
私がよく質問を受けることに、
・更正の請求を証明書類なく提出した
・税務署から電話があって提出を要請された
・これは提出する必要があるのか?
という内容がありますが、上記のとおり
「添付義務」ですので提出しなければなりません。
また、更正の請求における立証責任は
納税者側にある(東京高裁平成14年9月18日など)
とされていますので、税務署が還付処理
(職権による減額更正)するまで
求められる質問・資料の提出などは
すべて必要と考えられます。
税務署内の処理としては、(自主)修正申告で
あれば形式・外形的な審理をし、金額相違など
なければそのまま処理されることになりますが、
更正の請求については還付をともなうことから、
その内容・理由・事情・法律該当性まで
審理することになります。
税理士・会計事務所として更正の請求は
面倒なのですが、上記2つには気を付けたうえで
更正の請求書を提出してください。
来週金曜は、更正の請求をすることができない
当初申告要件について解説します。
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