更正の請求:理由の明示と添付書類
※2022年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引続き、
「更正の請求」を体系的に解説していきますが、
今回は更正の請求書を提出するにあたっての
実務上の注意点を取り上げます。
税務署側から考えると、(自主)修正申告が
提出された場合はほぼノーチェックで処理される
一方で、更正の請求についてはその内容を
精査されることになります。これは単純に、
税額を還付するという行為に対して、
(不正還付を含めて)税務署が厳しいチェック・
対応をしているからで、更正の請求のみならず
消費税還付も含め年々審査が厳しくなっています。
更正の請求をする場合、まず注意を払うべきは
更正の請求書の「更正の請求をする理由、
請求をするに至った事情の詳細等」の項目に、
●法律の規定に従っていなかった場合
●計算誤りがあった場合
の要件のどちらかを満たしていることを、
きちんと明記することが重要です。
更正の請求をする場合、外形的に明らかな
計算誤り・法律適用誤りである場合を除いて、
どちらに該当するのかを明示しないと
通らないケースが多くなっています。
※更正の請求の要件として、当初申告要件や
損金経理要件なども絡んできますが、これらの
論点は次回以降で取り上げます
税理士・会計事務所の中には、実は
「更正の請求の要件を満たしていなくても
通ったことがある」という経験がある方も
いるとは思いますが、これは税務署の担当官が
更正の請求の要件を把握してなかっただけで、
あくまでもラッキーに過ぎません。
さらに大事なことは、更正の請求書を提出する際の
「証明書類の添付」です。
更正の請求において「証明書類の添付義務」は
下記の法律で定められています。
国税通則法施行令第6条第2項
更正の請求をしようとする者は、その更正の請求を
する理由が課税標準たる所得が過大であること
その他その理由の基礎となる事実が一定期間の取引に
関するものであるときは、その取引の記録等に基づいて
その理由の基礎となる事実を証明する書類を
法第二十三条第三項の更正請求書に添付
しなければならない。その更正の請求をする理由の
基礎となる事実が一定期間の取引に関するもの以外
のものである場合において、その事実を証明する
書類があるときも、また同様とする。
本メルマガでも何度か「更正の請求を提出した後、
税務署から追加の資料提出を要請されているが
対応する必要があるのか?」という内容について
取り上げてきましたが、上記施行令のとおり、
あくまでも税務署が還付をするのに納得できる
だけの資料を提出する【義務】があります。
また、更正の請求における立証責任は
納税者側にある(東京高裁平成14年9月18日等)
と解されていますので、税務署が還付処理
(職権による減額更正)するまでは、
求められる質問・資料の提出などについて
すべて対応する必要があるということです。
更正の請求の事由がややこしい、または
多額になる場合、更正の請求を提出する前に
税務署に行って事前説明することを
お勧めしますが、事前説明なしに
更正の請求書を提出するのであれば、
・提出時の疎明資料はできる限り
添付して提出する(理由・事情までが
明確になることが望ましい)
・提出後に税務署から追加の資料提出要請が
あれば応じざるを得ない(断っても
還付されないという不利益しかない)
ということになります。
来週水曜の本メルマガでは、更正の請求を
提出する前に税務署に事前説明する場合の
具体的な対応方法について解説します。
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