更正の請求:税額減要件と当初申告要件
※2022年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引続き、
「更正の請求」を体系的に解説していきますが、
今回は勘違いされやすい更正の請求の要件
(すでに解説した要件以外)について解説します。
まず、更正の請求の要件は国税通則法第23条より、
●納付すべき税額が過大であるとき
●純損失等の額が過少であるとき
●還付金の額が過少であるとき
のうち、どれかに該当する場合になりますので、
純損失等の金額が増加する場合を除いて、
税額に異動のない更正の請求は認められません
(=要件を満たしていません)。
例えば、所得税で事業所得が黒字、所得控除や
税額控除を差し引いて税額がゼロのケースで、
期ズレの売上や追加的な必要経費があるなど、
過去申告の所得が減少しても、税額がゼロで
異動がない場合、更正の請求の要件を
満たしていないことになります。
更正の請求はあくまでも、税額の減少
(純損失の増加による将来分を含む)
が要件になることを理解しておきましょう。
さて、もう1つ注意すべき更正の請求の
要件として、当初申告要件があります。
当初申告要件は、最初の申告(期限後申告を含む)
において申告書に適用金額を記載した場合に限り
適用が可能とされている措置を指しますので、
当初申告要件がある措置を、更正の請求によって
是正することはできません。
平成23年度税制改正(平成23年12月施行)
により、当初申告要件が大幅に緩和されたことは
いまだ記憶に新しいのですが、
一方で、いまだ当初申告要件が残っている規定も
多いですから、都度確認が必要になります。
たとえば、所得税において政党等寄附金特別控除
(税額控除)を受ける場合は当初申告要件が
ありますが、寄付金控除にはありません。
来週水曜の本メルマガでは、更正の請求が
いつまで可能なのか、時効について解説します。
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