書面添付を定量的に分析する
私は書面添付をすることによって、
税務調査の数を確実に減らすことができると考えているのですが、
税理士と話してみると、皆さんバラバラの見解が多いようです。
「書面添付した方が税務調査に入られるのでは?」
「意見聴取の後に実地調査に移行されるのであれば
二度手間になるだけですよね?」
2012年1月にリリースいたしました書面添付のDVDですが、
その際には私も把握していませんでした、
書面添付の定量的データを、
今回のブログで公開したいと思います。
※情報提供いただきました税理士さんには
このブログで感謝の意を表します。
1事務年度前のデータになりますが、
日本税理士会連合会・業務対策部会の資料によりますと、
書面添付に関しては下記の数値データとなっています。
(法人税に関するものだけです)
【平成19事務年度】
書面添付割合:5.7%
意見聴取割合:3.4%
実地調査省略割合:29.3%
【平成20事務年度】
書面添付割合:6.0%
意見聴取割合:3.3%
実地調査省略割合:36.0%
【平成21事務年度】
書面添付割合:6.5%
意見聴取割合:4.0%
実地調査省略割合:43.7%
1つずつの項目を分析したいと思います。
①書面添付割合
平成22事務年度が7.0%でしたので、
毎年微増ではありますが、書面添付割合は増えています。
②意見聴取割合
実地調査の割合は、下記URLの6ページある通り、
平成21事務年度で「4.6%」(法人の実調率)ですので、
意見聴取される割合は、書面添付していない税務調査と
比べて、若干ですが低い割合となっています。
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/shingikai/110303/shiryo/pdf/04.pdf
③実地調査省略割合
年々如実に上がっているのが省略率です。
平成22事務年度の数値は把握していませんが、
おそらく50%程度だと思われます。
実地調査省略割合が上がっている理由としては、
・平成20事務年度から制度が変わったこと
・国税内部において、時間の経過とともに
書面添付に対する考えが変わっていること
(今後ますます浸透するものと思います)
の2点が考えられます。
以上の数字データからも明らかである通り、
書面添付しない場合に比べて、書面添付した場合、
実地調査の割合は半分以下になるということです。
(もちろんその前に意見聴取がありますが)
また実際のところ、実地調査省略割合は
意見聴取での税理士の対応でかなり上がります。
このあたりはまたメルマガで配信したいと考えています。
今後書面添付率が急上昇しない限り、
実地調査への移行割合は低いままと想定できますので、
書面添付を始めるなら今というのが私の結論です。
※2012年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。