2015.07.01

最新の税務調査状況

毎年のことではあるのですが、
11月~12月に税務調査の事績が公表されます。

昨事務年度の公表(一覧)は下記でした。

「平成24事務年度分(平成24年7月から平成25年6月)」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/press.htm

これらの中でも、私がもっとも注視しているのは
法人税の調査事績になります。

直近の数年はトピックが変わらず、
数字だけ更新されている状況ですが、
全体像を掴むには良い資料だと思います。

「平成23事務年度 法人税等の調査事績の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/hojin_chosa/hojin_chosa.pdf

なお、資料中にある「前年対比」で気をつけていただきたいのは、
平成22事務年度(平成22年7月~23年6月)は
震災が起った事務年度で、平成23事務年度もその影響が残っています。

最新資料からは、調査件数が増えていることがわかりますが、
震災の影響を考えると少ないままで推移していると見るべきです。
また調査による追徴税額自体は大きく減少しています。

そんな状況でも、海外取引に関する調査件数と
公益法人に対する調査件数は年々増え続けています。

数字を見るときに気を付けていただきたいのは「単位」。
例えば9ページにある、法人に対する税務調査の件数ですが、
全体で130千件(13万件)ですが、
13ページにある海外取引に関する調査件数は15,000「件」。

よく聞かれるのですが、タックスヘイブン税制や移転価格に
関する調査がどれほどの頻度で行われているかと調べてみると、
年間200件にも満たない数だとわかるわけです。
(その分1件あたりの増差が大きくなりますが)

昨年11月の発表で私がもっとも注目したのは、
「不正発見割合」が19.6%と、
統計発表以来初めて20%を下回ったことです。

ここにいう不正発見割合とは、税務調査において
重加算税を賦課した割合を指しています。

この数字でも私は異常に高いと感じていますが、
年々1ポイントずつくらいは下がっています。

税理士のみなさんが、調査官による重加算税の
適当な賦課理由に反論できればもっと下がると信じています。

この点、公益法人の不正発見割合は
5%にも満たないわけですから、法人全般でも
これくらいの数字になることが適正だと考えています。
(やはり宗教法人だけ少し高いのが面白いところです)

また相続税にかかる税務調査ですが、
ここでは詳細な説明を省きますが、

「平成23年分の相続税の申告の状況について」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sozoku_shinkoku/index.htm

「平成23事務年度における相続税の調査の状況について」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sozoku_chosa/index.htm

※「年」と「事務年度」で若干期間がズレています

の2つを見比べると、どの程度相続に対する
税務調査が行われているのか知ることができます。

税務調査もマクロ的な数字から
傾向を知ると面白く感じられるものです。

今年から、

・税務調査の手続きが大幅に減少したことで
 税務調査の件数が少なくなることが予想されている

・重加算税の賦課にも「理由の附記(提示)」が必要に
 なることから不正発見割合が下がることが予想されている

という状況です。

 

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2013年1月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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