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2019.03.26

未払役員報酬を借入金に振り替える意味

※2018年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週、全国5ヵ所・約200名の受講者で、
「税務判断・税務調査に必須の法律知識」
のセミナーを開催させていただきました。

その中で私が「未払の役員報酬を決算整理などで
借入金に振り替える意味がわからない」という
趣旨の話をさせていただきました。

「税務判断・税務調査に必須の法律知識」DVD

未払いの役員報酬を、勘定科目上
「未払金」で残そうと「(社長)借入金」
に振り替えようと、法的には同じだからです。
(具体的には、時効の期間が論点でしたが、
これについては詳細を省きます)

さて、これはセミナー後の懇親会で税理士さんに
教えていただいたのですが、未払役員報酬を
借入金に振り替える理由があるとするなら、
「金融検査マニュアル」にあるからです。

未払金のまま載せておけば負債ですが、
(経営者個人からの)借入金となると、
金融機関からは「実質的な資本」として
見做されるので、銀行対策になるということです。

さて、ここで税務上の問題が起こり得ます。

役員報酬を未払いにする場合であっても、
税理士・会計事務所の中には、
「源泉は通常通り納付」と指導している
方が多いとは思います。

これは実務上、未払いだからといって源泉を
納付していないと面倒だからでしょう。

しかし、税法上は支払いに対して
源泉徴収・納付義務があるのであって、
未払いであれば源泉は納付しなくてもいいのです。

会社の経営上、資金繰りが厳しいなどの理由で、
未払いの役員報酬に源泉納付していなかった場合、

未払金(役員報酬) / (役員)借入金

の振替えをすると、源泉の納付義務が発生します。

なぜなら、借入金にするということは、

【役員に支払った役員報酬を法人が借入れた】

という理解になりますから、未払いであれば
源泉納付義務がありませんでしたが、
借入金に振り替えると納付義務が発生します。

ちなみに、この事実については
金融検査マニュアルを解説しているサイトなどを
見ると多数載っています。

もちろん、これは理論上の話であって、
税務調査で指摘される可能性については
私は個人的に低いとは思っています。

なぜなら、税務調査の質問・相談で、
借入金に振り替えた場合の源泉について
指摘を受けたという事案がないからです。

しかし・・・です。
もし上記の指摘を受けたら、
反論のしようがないというのも事実です。

銀行対策と言いながら、源泉で
むしろ資金繰りが悪化するのであれば
顧問先は困るに違いありません。

未払役員報酬を借入金に振り替える意味、
というのを理解した上で、実行する分には
何ら問題はないわけですが・・・

実際のところは、上記のような意味や
リスクを理解せずに振り替えている方も
多いと感じています。

源泉リスクも合わせて加味してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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