業績悪化改定事由はどこまで?
今回は『業績悪化改定事由はどこまで?』がテーマです。
6月に入ると、税務調査が終わっていると思いきや、
弊社への相談件数は逆に増えました。
税務署にとって6月は事務年度の終わりだからこそ、
何としても修正申告に持ち込みたいという、
調査官の心情が伝わってきます。
さて、2012年になって急に相談が増えた内容として、
役員報酬があります。役員報酬に関する相談といえば以前から、
「同業他社と比較して高い」と過大役員報酬で否認指摘
されるケースは多くありましたが、最近の相談は
定期同額に関するものです。
定期同額に関して、税理士の悩みどころの1つは、
業績悪化改定事由による役員報酬の減額でしょう。
こんな時代ですから、売上が急激に下がる会社もあり、
銀行との関係上、大幅な赤字にもできないことから、
役員報酬の減額に踏み切りたいのですが、
否認されたら大変なことになるな、と悩みます。
2012年4月に課税庁から「役員給与に関するQ&A」
が出され、役員報酬減額への道は
大きく開かれたかのように思います。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf
※私のノートPCでは2ページ以降が表記できません。
そのような方は、PDFをダウンロードして
ファイルで読んでいただければ全文表示することができます。
しかしこのQ&Aをよく読むと、
将来業績悪化することが見込める場合も
役員報酬を減額してもいいよ、というニュアンスが
ありながらも、実際に例示(4ページ~)では
・売上の大半を占める主要な得意先が
・1回目の手形の不渡りを出した
・得意先の経営は悪化していた
となっており、事情的にこれよりヒドくない場合は
減額できるのかどうか、かなり曖昧なままです。
調査官は定期同額給与を額面通り捉えており、
通常改定以外は「毎月同額でなければおかしい」
と考え、否認指摘をしてくるケースが後を絶ちません。
ここでは、減額の法的要件をこれ以上語ることはしません。
それよりも、税務調査での対応を正しくすべきです。
セミナー等ではいつもお伝えすることなのですが、
調査官は「反論のスピード」を見ています。
否認指摘をしてからすぐに「こういう理由です」
「こういう資料があります」と反論されたら、
調査官も「あっ、そうですか」と、否認指摘を
その場で取り下げることも多くあります。
逆に、否認指摘されてから「考える時間をください」
「調べてみます」となると、調査官もその間に
税務署の審理に確認し、否認できる要件を固めてきます。
業績悪化改定事由については、その論拠(理由)を
きちんと説明できる状況を作っておかないと、
否認指摘を受けてから考えているようでは、
否認リスクが高まる一方です。
上記Q&Aを勝手に解釈して
「業績見込みが悪いから減額しました」だけではなく、
減額に至ったプロセスを説明し、資料として
提示できるかが否認されないポイントなのです。
※2012年6月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。