横目でチラリと見ています
※2010年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
今回のテーマは『横目で見る』です。
「この仕事の報酬はスイス銀行に振り込んでくれ」
漫画に出てきそうなお話ですが、脱税は銀行から発覚することも多いのです。
そうです。今日は銀行調査のお話です。
法人税や所得税の申告書には、事業で使用している
銀行口座はすべて記載しなければなりません。
経営者が売上の一部を計上せずに、個人の口座に振り込んだり
サラリーマンが副業で利用するための口座を持っていることが多々あります。
これら公表されていない口座を発見した場合、
かなりの確率で脱税を行っていると考えて良いでしょう。
銀行への反面調査は、事前調査の段階では行うことができません。
ですのである程度の確証がつかめた段階に行います。
この調査は、銀行側にとっては多少迷惑な話ではありますが
国税は銀行の監督庁筋にあたるので、調査に協力しないわけにはいきません。
協会との取り決めにより「金融機関の預貯金等の確認証」
に調査対象者の名称、住所、預金の名義名、それに調査を行う税務職員の氏名、税務署長の押印をしたものを提示し調査に入ります。
偽名や借名預金である場合も多いので、調査証には
「預貯金者の名義が異なるが、同一であると認められる者も含む」
と記載されいます。
この判断は銀行側ではなく、調査官側にあるために
疑いのある口座を、ある程度自由に調べることができるのです。
一番多いのは家族の名義で作った口座で不正を行うケースです。
ですから事前に経営者の家族構成などを自筆で書いてもらいます。
なぜ自筆なのか?それは筆跡から社長が作った口座かどうか確認するためです。
家族のものと言えども、筆跡が社長と一致すれば、何らかの理由で作られ不正に利用された口座の可能性も高くなります。
最近では、振り込め詐欺の影響もあってか、簡単には口座開設ができません。
仮名、無記名預金には特に厳しくなっておりますが、銀行も大口の預金が欲しいのでつい経営者に言われて仮名や無記名預金を作ってしまう行員もいます。
そういうケースに対処するため、銀行が日々つけている管理簿も見せてもらいます。
これによりどんな業務が行われていたかも調べることもできるのです。
銀行への反面調査は通常2名の調査官で行います。
思った以上に膨大な作業なることも多く、円滑に進めるためです。
この時、法人課税部門の『機動担当』または個人課税の『資料担当』が
調査に同行し”横目調査”を行うことがあるのです。
文字通り「横目で見る」ことで、調査対象とは別の資料を探しているのです。
個人の口座なのに大きな金額で頻繁に入出金があった場合
サラリーマンがFXなどの副業に使っている口座の可能性もあります。
税務署に戻った後に、口座の人物がきちんと確定申告を行ったかなど
じっくり調べたことにより、不正を見つけ出したケースも多々あるのです。
以前は頻繁に横目調査が行われていましたが
現在は、口座取引は電子チップで管理されいるので
対象者以外の口座を見ることは、なかなか難しくなっています。
このように銀行には、脱税を摘発するための重要な情報がたくさん眠っているのです。
※2010年1月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
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