死後認知された場合における相続税申告
※2023年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「死後認知された場合における相続税申告」です。
前回は、死後認知された場合における
遺産分割協議に関してまとめました。
その中でも、以下のケースに前提を付け加えて
相続税申告における取扱いを確認します。
—
被相続人:父
推定相続人:長男、長女(母は既に他界)
推定相続人ではないが、
認知していない非嫡出子が1人いる。
ケース2-2:
遺言なしで父の相続が開始したが、
相続開始後、すぐに非嫡出子本人が認知の訴えを提起したが、
判決確定時には遺産分割協議は既に確定済みである
このケースでは、
遺産分割協議は確定しており、
判決確定後に、遺産分割協議のやり直しは
求められないことになっています。
—
上記のケースで、
長男・長女による遺産分割確定後
(各人法定相続分による財産取得)、
申告期限内に相続税申告を済ませたが
被相続人の相続発生後に非嫡出子より
死後認知訴訟を提起され、申告期限後に
勝訴判決が確定したため、
非嫡出子から長男・長女に対して
価額支払請求がなされた、とします。
1.更正の請求Ver1(相法32(1)二)
死後認知訴訟により勝訴判決が確定し
それに伴い、既に申告した相続税額が過大と
なったときには、認知があったことを知った日の
翌日から4ヶ月以内に、納税地の所轄税務署長に
対して更正の請求をすることができます。
2.更正の請求Ver2(相法32(1)六、相令8(2)二)
遺産分割後に死後認知訴訟を提起し勝訴判決が
確定した場合、認知された子は、他の相続人に対して、
価額弁償を請求することができます(民法910)。
当該請求に対して弁済すべき額が確定したときは、
価額弁償をすることとなった相続人等は、そのことを
知った日の翌日から4ヶ月以内に、納税地の税務署長に
対して更正の請求をすることができます。
時系列で考えた場合、
上記1を理由とした更正請求期限のあとに
上記2を理由として更正請求期限を
迎えることになります。
ただし、これまで前回のメルマガにて
確認したように、死後認知訴訟が確定した後に
引き続き、認知された子による
価額支払請求がされることが通常です。
そのため、二段階で更正の請求をすることは
更正請求する相続人等の手続が煩雑となります。
そこで、課税庁側の措置としては、
以下の取扱いを認めています。
上記1を理由として、認知があったことを知った日の
翌日から4ヶ月以内に更正の請求をせずに、
上記2を理由として、弁償する価額が確定したことを知った日の
翌日から4ヶ月以内に、上記2つの事由を併せて更正の請求が
行われたときには、いずれの事由についても更正の請求の
期限内に更正の請求があったものとして取り扱われます(相基通32-3)。
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