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2022.08.12

汎用的法律規定:税務調査は犯罪捜査ではない

※2021年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回は
「税務調査は犯罪捜査ではない」と規定されている
内容について解説します。

先週金曜の本メルマガでは、職業上の守秘義務があっても
税務調査で受忍義務がある一方、調査官の質問検査権にも
範囲があり、「売上・所得・税額」を把握できる
範囲にとどまる(はず)と解説しました。

この考え方の論拠になっている条文として
下記が挙げられます。

国税通則法第74条の8(権限の解釈)
第74条の2から前条まで(当該職員の質問検査権等)
の規定による当該職員の権限は、犯罪捜査のために
認められたものと解してはならない。

たとえば以前、「社長・営業マンのメールをすべて
一括ダウンロードし、データで提出してください」
と調査官に要請されたが、どのように対応すべきか、
質問・相談を受けたことがあります。

この調査事案は不動産売買の会社が対象で、
売上の計上時期について多数の疑義がありました
(売買契約書だけでは時期が明確にならない)。

だからといって、すべてのメールを一括提出というのは
間違いなく粗い(荒い)やり方であることから、
上記の法律規定を根拠に反論してもらいました。

税務調査とはそもそも、「この売上は○○ですか?」
「この経費は××ですか?」など、特定の取引に関して
調査官が質問し、それに対して回答するなどの
受忍義務があるわけです。

一方で、すべてのメール履歴を提出しろなど、
「叩けば何かホコリが出るだろう」は、
まさに【犯罪捜査】であって、上記法律規定から
税務調査の範囲を逸脱していると解釈できます。

この「犯罪捜査」という規定には法令解釈通達が
ありませんが、税務調査とは被調査者を犯人だと
みなして証拠収集することではない、ということです。

来週から本メルマガで取り上げる、税務調査の手続き
ですが、これらは明確な法令等の規定があることから、
それらに違反している場合、調査官に対して
税務調査の違法性を問うことができます。

しかし、調査手続きに明記されていない調査官の
行為のなかで、さすがに「度が過ぎているな」
と感じる言動については、「税務調査は
犯罪捜査ではありません」が有効な主張です。

・キャビネや引き出しを勝手に開けられる
・不要な反面調査に行かれて取引先の信用を失う
・パソコンからデータを抜かれる

などが該当する調査官の行為になるでしょう。

国税通則法第74条の8は税務調査において
汎用的に主張できる根拠なので
ぜひ覚えておいてください。

来週金曜の本メルマガから、税務調査の手続きに
関してシリーズで解説していきます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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