決算期を変更したら税務調査に入られやすくなるか?
※2020年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
コロナ禍により、事業年度の途中で役員報酬を
減額する・した法人も多いかと思います。
これについては、ご存知の方が多いでしょうが、
今年4月13日に国税庁から、
下記の質疑応答事例が出されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
の37ページ問6
ただ、ここで定義される「業績悪化改定事由」
に該当すると確信できない場合の減額、
もしくはいったん減額した後の期中増額は
できないことから、これらの場合は
決算期(事業年度)を変更することが
有用な手段となり得ます。
ここで多くの人が気になるのは、
「決算期を変更すれば税務調査に
入られやすくなるのか?」という疑問。
特に、過去にも決算期の変更を実施しており、
数年間で複数回の変更になる場合でしょう。
税務署が注視している情報・行為として、
「短期間における納税地の異動」がある
のは有名ですが、これは納税地を頻繁に
変更することで、税務調査を逃れようとする
納税者が多いという経験則があります。
一方で、「決算期の変更」は脱税手段
でも何でもなく、あくまでも定款変更の
手続きですから、税務署は注視しません。
ですから原則として、決算期の変更を
行っても税務調査選定に影響しません。
一方で、決算期の変更を行うことで、
若干ではあっても、税務調査の確率が
上がるものとは思います。
1つ目の理由は、申告回数が増える
という非常に単純な理由です。
そしてもう1つの理由は、税務署内の
資料を移動することから、調査官の
目に留まりやすい、というものです。
税務署内の資料せんなど、紙で保管
されている情報は、決算期ごとに並んで
いることから、決算期の変更となると、
その保管棚を移動することになります。
この移動はあくまでも作業とはいえ、
調査官が行うことから、目に留まる
確率は上がるといえます。
ザックリ言えば「決算期を変更しても
調査確率は上がらない」となりますが、
「調査確率が全く変わらないか?」と
聞かれれば「若干でも確率は上がる」
というのが答えでしょう。
実務上そこまで影響ないとは思いますが、
結果として短期間に数度の決算期変更を
する場合は、顧問先に一応のリスク
として伝えておいた方がいいでしょう。
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