法人の調査結果が発表されました
※2016年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
つい先日、国税庁のホームページで、
最新の税務調査に関するデータが発表されました。
「平成27事務年度 法人税等の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf
※平成27事務年度=平成27年7月〜平成28年6月
法人に対する税務調査の件数は、全体で
ほぼ変わらずの約94,000件。
国税通則法改正前は13万件以上実施されてました
ので、調査手続きが厳格化されてからは
調査件数は少ない状況が続いています。
法人の申告件数は年々増えており、
同事務年度で2,825千件となっていますから、
実地調査率は「3.3%」しかないことになります。
税務調査での否認割合は、
64千件÷94千件=68%
となっており、裏を返すと
是認率が「32%」しかありません。
(増差税額ゼロの修正申告も含みます)
調査1件あたりの増差所得(法人税)は900万円弱。
これを多いとみるか少ないとみるかは
人ぞれぞれかとは思いますが、消費税を合わせると
かなりの増差税額になることは確かでしょう。
重加算税の賦課率である「不正発見割合」は、
「19.7%」となっており、相変わらず
法人調査の5件に1件は重加算税が課されています。
個人的には、この数字(率)が高すぎると
思っていて、本来は重加算税ではない事案に
重加算税が課される現状は何も変わっていません。
また、連結法人に対する税務調査においては、
不正発見割合は下がったものの、35%以上
(前年は40%超)あるのも注目すべき数字です。
8ページの別表3にある
「不正発見割合の高い10業種」の顔ぶれも
あまり変わっていませんが、このような
データも参考にしながら、国税は税務調査先を
選定していることは知っておいた方がいいでしょう。
海外取引がある税務調査は、件数が増えるものと
予想していましたが、そこまで
問題視されていないことがわかります。
公益法人に対する税務調査は、年々増えており、
法人税・消費税の調査だけではなく、
特に源泉誤りが65%超となっていることから、
公益法人に対する税務調査対策としては、
源泉漏れ・誤りに注意をはらう必要があります。
このデータの公表は毎年行われており、
時系列で見ると税務調査の傾向がよくわかります。
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/press.htm
マクロ的なデータですが、顧問先に対して
情報提供するのにも役立ちますし、
ある程度の税務調査対策にもなりますので、
ぜひ参考にしてください。
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