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2014.11.19

法人課税の税務調査の傾向

今回のテーマは、『法人課税の税務調査の傾向』です。

前回は個人に対する実調率について書かせていただきました。

おさらいになりますが、実調率とは
「税務調査の対象件数のうち実際に税務調査した対象の割合」です。

法人に対する実調率が低下から増加に転じていることは
以前のメルマガでも書かせていただきましたが、
今回は法人に対する税務調査の傾向です。

平成15年に4%を割り込んでいた法人の実調率が、5%超になった現在
税務調査の傾向も変わりつつあります。

実は法人に対する税務調査は主に”重点調査”にシフトしているのです。

少し古い数字ですが、実数で検証してみましょう。

法人の実地調査件数は、平成17年度43,566件に対して、
平成19年度は45,019件と3.3%の微増にしかすぎませんが、
内容は大きく変化しています。

実地調査のうち重点項目調査は平成17年度11,217件に対して、
平成19年度は16,898件で50.6%も増加しているのです。

法人課税では平成20年度から、実地調査における
重点項目調査の割合を5割にし、法人1件あたりの調査日数を削減、
税務調査の対象件数を20%増加させることを目標にしています。

これは個人課税同様、小規模で調査しやすい法人調査を増やし、
実調率を上げようとする施策です。

また、税務調査には”重点調査業種”が存在します。

国税庁または各国税局が、直近の税務調査の実績から、
増差所得が多いまたは不正(重加算税の賦課)が多い業種を選択。

その中から重点調査業種に指定し、国税局を含めた各税務署が
重点的に税務調査を行うことになっています。

平成20年度現在、法人の重点調査業種は、
不動産業・パチンコ・パチンコ関連業種が指定されており、
注目業種(重点調査業種よりも低位だがその次に重点的に
税務調査を行う業種)は、情報サービス・建物サービス・
警備・人材派遣・職業紹介・医療保険・医療関連サービス・
ラブホテル・電子取引・ペット産業・健康関連業・対アジア取引・
シルバーサービス・鉄鋼・非鉄金属関連が指定されています。

これらの業種の中には、パチンコのように
以前から重点調査の対象となっている業種もありますが、
対アジア取引のように直近の景況状況を鑑みて、
新たに加えられている業種も数多く存在します。

皆さんの関与先の中で、「最近この業種によく税務調査が入るな」と思ったら、
それは”重点調査業種”や”注目業種”に指定されている可能性が高いので
注意が必要と言えます。

また、重点調査業種や注目業種は、3~5年前に景気が良かった業種が選ばれやすいのですが、税務調査の時にはすでに景気が悪くなっている業種も数多くあります。

上記の中では不動産業が顕著でしょうか。

確かに遡って調査すると多額の増差所得・税額が発生するのですが、
「納税の段階でキャッシュがない」ということがよく発生するので、
重点調査業種には特に注意を払う必要があるのです。

 

※2010年7月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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