源泉の重加算税は?
今回のテーマは、『源泉の重加算税は? 』です。
皆さんから寄せられる相談で、最も少ないのが「源泉所得税」
(以下、「源泉」と書きます)に関するものです。
過去いくつか源泉に関してご相談をいただきましたが、
税務署とモメている、というものではなく、
処理に関して相談しておきたいという内容ばかりでした。
源泉の場合、税務調査でモメるポイントは
・給与、退職金などの支払時期がズレている場合
・通勤費、旅費など課税対象に疑義がある場合
・会社が源泉を実質負担していてグロスアップ計算が必要な場合
などに集約されると思います。
これ以外でよくありがちなのは、
接待交際費が私的支出だと指摘され、
支出した役員の賞与(認定賞与)とされた場合、
これはもう給与収入の額面金額が上がるわけですから、
無条件に源泉が発生すると判断できます。
私的支出かどうかでモメることはあっても、
否認確定後の源泉でモメることはないようです。
では源泉の重加算税の取扱いに関してはどうなのでしょうか?
弊社に相談がないということは、税務署とモメていない
というだけで、実は間違った取扱いが横行している
可能性が高いと思っています。
まずはこちらをきちんと読んでください。
「源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/gensen/000703-2/01.htm
ここでポイントにしたいのは、
「3 源泉徴収義務者が直接不正に関与していない場合の取扱い」
についてです。以下、この部分の抜粋です。
「不正事実は、源泉徴収義務者に係るものに限られるのであるから、
例えば、源泉所得税を徴収される者に係る不正の事実で、
源泉徴収義務者が直接関与していないものは、
不正事実に該当しないことに留意する。」
つまり、役員が「不正に」接待交際費を私的に
支出していたとしても、「源泉所得税を徴収される者」
が不正をしていたのであって、
「源泉徴収義務者が直接関与していない」のであれば、
この追徴源泉額については重加算税は課されません。
また役員が取引先からリベート等を受け取っており、
個人的な収入にしていた場合、会社(源泉徴収義務者)が
加担していないのであれば、この追徴源泉額にも
重加算税が課されない、という規定なのです。
※どちらのケースも否認部分が
認定賞与になることを前提として書いています
「従業員の不正=損金不算入」部分が結果として、
法人税の重加算税とされるのは当り前ですが、
税務調査の現場では、
「法人税に重加算税=源泉に重加算税」
と勝手に解釈されているふしがあります。
(もちろん調査官の誤認も含めてです)
法人が直接関与していなければ
従業員の私的不正に関する源泉には
重加算税は課されませんのでぜひ注意してください。
※2011年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。