源泉徴収の対象範囲はどこまで?
※2019年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
昨年12月から今年2月末までは、更正の請求を
中心に当初申告の是正措置を解説してきましたが、
今回からしばらくは、実務上常に問題となる
【源泉税】について解説していきます。
源泉(徴収)に関しては、実務上頻繁に出てくる
論点にも関わらず、体系的に学ぶ機会は少なく、
また、税務調査でも否認が多いポイントになります
ので、本メルマガ(金曜)では体系的、かつ
実務頻出の個別論点まで解説いたします。
まず、源泉徴収に関して全体かつ網羅的には、
国税庁から「源泉徴収のあらまし」が
公表・配布されています。最新版は下記です。
「平成31年版 源泉徴収のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/index.htm
この中で、実務上もっとも出てくるのは
「報酬」になりますが、該当箇所はこちらです。
「報酬・料金等の源泉徴収事務」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/pdf/07.pdf
併せてこちらも確認してください。
「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
源泉徴収義務の判定は【限定列挙】ですから、
この中に該当すれば源泉義務がありますし、
似て非なるものには源泉徴収義務がありません。
例えば、税理士個人への報酬は当然に
源泉徴収の対象となりますし、一覧を見ても
ほとんどの士業が列挙されていますが、
この中に「行政書士」はありません。
ですから、個人の士業に対する報酬支払いに
源泉徴収義務があるわけではなく、
行政書士であれば源泉徴収は不要です。
また、士業への支払いのみならずですが、
報酬とは別途交通費などを支払う場合、
源泉徴収漏れ・誤りが起こりやすいです。
交通費を込みで報酬の支払いをする場合、
交通費が概算ではなく、実額で計算されて
いたとしても、「報酬+交通費」の
支払総額に対して源泉が必要となります。
「No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2798.htm
などにも明記されていますが、
「通常必要な範囲内の交通費、宿泊費等を
支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う場合」
には源泉徴収の対象となる報酬に含めなくても
いいのですが、相手方が支払った場合、
それが実質的に立替金になっていても
源泉徴収の対象となってしまいます。
この点は、士業への支払いのみならず、
外部の方に謝金などを渡す場合も
すべて同じになります。実務上は
一般法人はもちろんですが、公益法人でも
否認指摘が多いポイントになります。
来週の金曜からは、経済的利益が発生する
源泉の個別論点を解説していきます。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。