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2022.10.07

無予告調査の対応方法を全顧問先に伝えておく

※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回は無予告調査の
最終回として「正しい対応方法」を取り上げます。

突然の無予告調査をそのまま受けた場合、
大きなトラブルに発展するリスクが想定できます。

・事前に申告内容等を見直しができない

・顧問税理士が不在のまま調査が開始される

・経営者が留置きなどに容易に応じてしまう

ですから、無予告調査はできる限り、そのまま
応じるのではなく、仕切り直しで後日にして
もらうというのが無難な対応といえます。

私が考える無予告調査の対応方法は3つあります。

●調査官を事業所内に入れない

調査官が突然来た場合、事業所内に入れてしまうと
その場で調査を受け入れたのと同じと解釈されます。

これは「黙示の承諾」が論点になるのですが、
詳しくは下記の記事(過去メルマガ)をご覧ください。

「気安く承諾はしてはいけない?」

大事なのは、顧問先(被調査対象者)が事業所内に
調査官を入れず、入口付近で待たせたまま
「顧問税理士に連絡しますのでそのままで
少々お待ち下さい」と伝えることです。

●今日は税務調査を受けられない旨を伝える

顧問先もしくは顧問税理士が調査官に伝えるべきは
「今日は仕事の予定が入って税務調査を受けることが
できません」という内容です。

ここで大事なのは、税務調査には受忍義務があり、
「税務調査を受けることを前提としながら」も
今日は受けることができない、という趣旨です。

●税務調査の日程をその場で決める

上記の流れを受けながら「来週であれば○○日が
大丈夫です」など、税務調査の日程を
その場で決めてしまいましょう。

こうすることで「税務調査を受けることには協力的」
という姿勢が明確になります。

ここで税理士・会計事務所として最も重要なことは、
全顧問先に対して上記の対応を【事前に】周知して、
徹底してもらうことです。

まともな顧問先であれば、突然税務署の人間が来れば
オフィス内に調査官を入れるという常識的な
行動をとるわけですが、これが最もリスクです。

無予告調査が入ることも想定したうえで、
今からすぐ顧問先に上記をぜひ周知してください。

さて、最後になりますが、上記の行動をとっても
調査官が「今から少しだけでも」と言って
食い下がってくる可能性もあります。

調査官も無予告調査を実施するくらいですから、
統括官の判断・指示により無予告調査をしており、
「はい、では別日で」と安易には応じにくいです。

この場合、ケースバイケースでの対応とは
なりますが、飲食店・水商売などであれば
レジ内の現金実査だけは応じるなど、
限定的な調査には応じた方がいいかもしれません
(延々と押し問答を続ける調査官もいます)。

ただ、このような場合であっても、
税理士・会計事務所の立会いがない中で
税務調査を進められるとリスクが高いので、
税理士到着後に対応するようにしてください。

もちろん、顧問税理士がその場で対応できない場合は、
現金実査にも応じない方がいいでしょう。

私は仕事柄、無予告調査をそのまま受けて
大きなトラブルになる事案を多く見てきました。
無予告調査の対応を間違えないようにしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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