無予告調査の要件とは?②
前回から引続き、無予告調査についてご紹介します。
まず、前回のブログ冒頭に
「書面添付をしている法人にまで、無予告調査が堂々と
行われているそうで、個人的にはかなり驚きです。」
と書きましたが、勘違いしていただきたくないのは、
書面添付をしていても無予告調査は法律的にはアリです。
(税理士法第35条第1項)
ただし、書面添付をしているのに、無予告調査に入られたら
書面添付をしている意味・意義が埋没してしまうことから、
このように書きました。あしからず。
さて、前回のブログで、無予告調査があった場合は、
まず無予告調査の「理由」を聞かなければならない、
法令もしくは通達のどこに該当するのか、
調査官に問いただす必要性があると書きました。
そして、この回答の内容にかかわらず、
無予告調査は「今すぐその場で」受けることは
納税者にとって圧倒的に不利ですから、
どのように対応すべきなのかを書いていきましょう。
まず、税務調査は
税務署(調査官):質問検査権(通則法第74条の2~)
納税者:受忍義務(通則法第127条)
の関係で成り立っていますが、ここに理解される
受忍義務とは、「税務調査を受けなければならない」
「税務調査を断ることができない」という意味であって、
「今すぐこの場で」受けなければならないわけではありません。
無予告調査の正しい対応方法の基本は「リスケ」です。
つまり、税務調査の「別日を決める」ことです。
この点、通達にも規定されています。
国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について
(法令解釈通達)
4-6(事前通知した日時等の変更に係る合理的な理由)
法第74条の9第2項の規定の適用に当たり、調査を開始する日時
又は調査を行う場所の変更を求める理由が合理的であるか否かは、
個々の事案における事実関係に即して、当該納税義務者の私的利益と
実地の調査の適正かつ円滑な実施の必要性という行政目的とを
比較衡量の上判断するが、例えば、納税義務者等
(税務代理人を含む。以下、4-6において同じ。)の病気・怪我等に
よる一時的な入院や親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情、
納税義務者等の業務上やむを得ない事情がある場合は、
合理的な理由があるものとして取り扱うことに留意する。
としており、事前通知後の日程変更も可能です。
もちろん税務代理人である税理士の事情でも大丈夫です。
ここで、無予告調査における正しい対応方法を提示します。
①事業所内に調査官を入れないことを顧問先に伝える
「税理士に連絡しますのでそのままで少々お待ち下さい」
②税理士が電話口で、今日は予定がある旨を伝える
「今日は今から別の予定が入って無理なのです」
③次の調査日程をその場で決める
「来週であれば○日(○曜日)が大丈夫なのですが」
ポイントは「調査を受けたいのですが・・・」と強調すること。
「受けたいのだけど今すぐはムリ」という主張です。
この点、無予告調査をリスケすることで、
受忍義務違反にだけは捉えられないようにすべきです。
無予告調査は対応を間違うと、それだけで
調査官のやりたい放題になる可能性が高まります。
ぜひ正しい対応方法を実践してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※2013年10月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。