特定居住用宅地等(家なき子特例)に関する盲点2
※2022年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「特例居住用宅地等(家なき子特例)に関する盲点2」です。
前回に引き続き「家なき子特例」
に関する盲点をお届けします。
前回ご紹介した盲点は
以下条文に関するものでした。
租税特別措置法69条の4第3項第2号ロ(1)
—
(1)相続開始前三年以内に相続税法の施行地内にある当該親族、
当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と
特別の関係がある法人として政令で定める法人が所有する家屋
(相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)
に居住したことがないこと。
—
(以下、改正後(1)という)
・改正前(1)の概要
死別・離別などで配偶者がいない被相続人に
別居の相続人(子)がおり、
その子もしくはその配偶者の持ち家に
当該相続人が居住していた場合には
改正前でも「家なき子特例」の適用はできませんでした。
つまり改正後(2)では・・・
相続開始3年以内の居住家屋につき
当該家屋の所有者の範囲を拡大しました。
今回は、これとは別の以下追加規制になります。
課税庁側は何を塞ぎたかったのかを考えてみましょう。
租税特別措置法69条の4第3項第2号ロ(2)
—
(2)当該被相続人の相続開始時に当該親族が居住している家屋を
相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
—
(以下、改正後(2)という)
平成30年改正前は以下の方法で
上記の改正後(2)は存在しません。
改正前(1)のみでした。
つまり・・・
取得した親族及びその配偶者の家屋に
相続開始前3年以内に居住していなければ
「家なき子特例」の適用可能性がありました。
改正前(1)の潜脱方法を検証してみます。
当該相続人が自宅家屋を保有しており
自宅家屋の築年数が経過し
固定資産税評価額が低くなった場合
自宅家屋を被相続人である親に贈与し
使用貸借契約を締結します。
その後、3年経過すれば
「家なき子特例」の要件を満たすことになります。
これで改正前(1)は
潜脱できることになります。
そこで・・・
当該スキームを防止するために
改正後(2)を新設しました。
—
(3)当該被相続人の相続開始時に当該親族が居住している家屋を
相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
—
上記スキームでは
元々所有していた家屋に
使用貸借契約を締結して
居住し続けています。
しかし改正後(2)では
相続開始時に居住している家屋を
相続開始前の「いずれの時においても」
所有していたことがないことを求めています。
相続開始3年前規制ではありません。
何年前であっても所有権があれば適用不可となります。
そのため・・・
相続税申告実務では、
相続開始時に相続人が居住する家屋につき
所有権がない場合であっても
当該家屋に関する登記簿謄本を取得して
所有歴がないかのチェックが必要となります。
ご注意ください。
前回から引き続き
「家なき子特例」に関する
平成30年度改正を概観しました。
次回も引き続き「家なき子特例」を
検証します。お楽しみください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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