• HOME
  •  › ブログ
  •  › 狙われる役員退職金とは?
2015.01.16

狙われる役員退職金とは?

今回のテーマは、『狙われる役員退職金とは?』です。

納税者の方には失礼かもしれませんが、
調査官というのは否認するのが仕事です。

しかも、どうせ否認するなら増差所得が
大きい方が自分の評価にもなります。

単純な考え方なのですが、多額な増差所得を
出せる可能性が高いのは…

役員退職金を支給した法人なのです。
ひとつの否認で数千万円が確実ですから。

さらに役員の分掌変更にともなう役員退職金について
裁判で方向性が示されたことが、国税の中でも
退職金否認狙いをさらに強化している理由です。

京都地裁・大阪高裁で争われた役員退職金ですが、

「通達の規定を形式的に満たした分掌変更等が
行われたものであっても、実質的に分掌変更後も
重要な責務を果たしている場合は退職とは認められない」

とする判事が下されました。

その後、法人税法基本通達9-2-32が改正され、
実質的に分掌変更後もその役員が経営上主要な地位を
占めていると認められる場合は、退職と同様の事実が
あるとは認められない点が明確化されました。

この改正以前は正直、分掌変更で退職金を
もらうのが当たり前でしたが、今では
税務調査で重点的に狙われるポイントになっています。

さて「実質的に分掌変更後も重要な責務を果たしている」
かどうかは、税務調査を実際に行ってから
初めてわかることで外形的にはわかりません。

では調査官は調査先の選定段階でどのような
役員退職金支給案件を選定しているのでしょうか?

前回と同じく、調査先の選定は
KSK(国税総合管理)システムが1次的には
行っていますので、その選定基準を2点教えます。

①役員退職金の支給金額が2億円以上

これは絶対金額で決まっています。
なお景気が悪くなればもっと基準金額が
下がることもあると思っておいた方が無難です。

②支給金額が5,000万円以上で功績倍率が5倍以上
(代表以外の役員は3倍以上)

ある程度多額で、功績倍率が通常
(代表:3倍 代表以外:2倍前後)
から乖離しているものは確実に選定されます。

経営者は退職金で会社から現金を抜きたいもの。
上記①②に当てはまってしまう場合は、
税務調査に入られるリスクが高いことを
関与先に伝えておくべきでしょう。

 

※2011年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。