申告是認の割合はどのくらい?
今回のテーマは、『申告是認の割合』です。
税務調査もすんなり終われば何てことないのでしょうが、
モメるとこれが大変なわけです。
さて、税務調査における”申告是認率”は、
どのくらいだと皆さんはお考えでしょうか?
つまり何%くらいが”申告是認”になるのでしょうか?
私の感覚で言えば、ほとんど申告是認で
終わらせたことがないので10%くらいです。
国税庁が発表している数字があります。
平成18年事務年度(2006年7月~2007年6月)における
法人税の実地調査状況を数字で出したものです。
実地調査件数:147千件
更正・決定等件数:108千件
差引申告是認件数:39千件
ここで「更正・決定等件数」とは
何らかの非違事項があり、修正申告を慫慂した
件数も含まれているようです。
(つまり申告是認以外の件数です)
この数字から見る限り26.5%が申告是認率になりますね。
約4件の税務調査で1件が申告是認…
私には非常に違和感があります。
この申告是認率は高すぎるだろうと。
さて中小企業に対する税務調査だけを考えると、
申告是認率がもっと低いだろうと思う理由が2つあります。
①大企業は申告是認率が高い
大企業は監査法人が入っていることも多く、、
そもそも利益を出すことを目的にしている会社が多いため、
粉飾は多いのですが逆粉飾はかなり少ないです。
もちろん大規模同族会社は別ですが。
②調査省略にしている
税務調査は実際に行ったにもかかわらず、
申告是認で終わる案件は、調査をしなかったことにする
いわゆる「調査省略」という行為があります。
調査省略とは本来、非違項目はあったのだが
金額が小さいとか単なるミスのため、
修正申告を慫慂するほどのものでもないケースに
対して取られる指導に留める行為のはずなのですが…
調査官が申告是認の実績を作りたくないがために
調査省略とし、実地調査件数から外してしまうのです。
調査省略にしてしまうと、上記数字の母数が減るわけですから、
当然、申告是認率が高めにでてしまいます。
正確な申告是認率はもちろんわかりませんが、
皆さんの感覚とズレない数値であることは確かでしょう。
※2010年9月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
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