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2017.03.22

留置き拒否に罰則は適用されるのか?

※2016年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

国税通則法の大改正・施行からすでに3年半。
いまだに調査手続きをきちんと理解していない
調査官による税務調査が横行しています。

今回は「留置き」を整理しましょう。

税務調査において、調査官が帳簿・書類等を税務署に
持ち帰ることを全般的に「留置き」と規定されています。

国税通則法第74条の7(提出物件の留置き)
国税庁等又は税関の当該職員は、国税の調査について
必要があるときは、当該調査において
提出された物件を留め置くことができる。

この法的規定だけを読むと非常に強権的で、かつ
この規定に反した場合、罰則規定も存在します。

国税通則法第127条第1項第3号
第74条の2から第74条の6までの規定による
物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなく
これに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした
帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を
提示し、若しくは提出した者

ここにいう「提出」が留置きに該当しますので、
留置きを正当な理由なく拒否した場合は、
「法的には」罰則を受けることになります。

その一方で、「実務上の運用として」
留置きについては下記が規定されています。

「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等
について(事務運営指針)」第2章3(4)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/

「調査について必要がある場合において、
質問検査等の相手方となる者に対し、帳簿書類
その他の物件(その写しを含む。)の提示・提出を
求めるときは、質問検査等の相手方となる者の
理解と協力の下、その承諾を得て行う。」

このことから、調査現場において留置きは、
納税者の「任意」であることがわかります。

さらに、同事務運営指針の第2章3(5)において
留置きには要件があることがわかります。

「やむを得ず留め置く必要がある場合や、
質問検査等の相手方となる者の負担軽減の
観点から留置きが合理的と認められる場合に」

また、国税庁のサイトには下記記載もあります。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」問3
正当な理由がないのに帳簿書類等の提示・提出の
求めに応じなければ罰則が科されるということですが、
そうなると事実上は強制的に提示・提出が
求められることにならないでしょうか。

「帳簿書類等の提示・提出をお願いしたことに対し、
正当な理由がないのに提示・提出を拒んだり、
虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、
罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が
科されることがありますが、税務当局としては、
罰則があることをもって強権的に権限を行使する
ことは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出を
お願いする際には、提示・提出が必要とされる
趣旨を説明し、納税者の方の理解と協力の下、
その承諾を得て行うこととしています。」

調査官は法的規定をもって強権的に
留置きを主張するケースが多いようですが、
事務運営指針やQAに明記されているとおり、
あくまでも納税者の任意であって、原則として
罰則が適用されることはない、というのが
正しい理解となります。

このあたりは調査官が間違っているケースが
多いので調査対応に注意してください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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