2015.09.09

異動直後の税務調査

ちょっと驚くことに、7月上旬からすでに
税務調査の相談(新規)が2件入っています。

この時期は通常、税務調査がほとんど行われていないため、
相談があること自体、かなり不思議な感じがするわけです。

この時期の国税内部の状況を解説することで、
税務調査の注意点を示しておきましょう。

国税組織は毎年7月10日に異動があります。
異動前後の事務をざっくり示しておくと、こうです。

7月3日:辞令が発令
7月10日:異動日
7月中旬~下旬:調査先の選定+一般事務
7月下旬:着手するものから順次調査先に事前通知

こう考えると、毎年7月下旬に8月以降の
税務調査の予約が入り始めるのが納得できるかと思います。

しかし、実は上記のルーティンにのらない調査があります。
数は少ないのですが、要注意の調査です。

7月10日以降すぐに事前通知がある調査です。
(極端な場合には、調査官に異動がないことがわかれば
7月10日以前でも事前通知があるケースもあります)

さて、このような調査は、前事務年度(6月まで)に、
税務署が資料せん等を手に入れていたにもかかわらず、
すぐに調査に着手できず(またはあえて着手せず)、
翌事務年度に繰り越した事案なのです。

つまり、7月上旬~中旬に連絡がある調査は、税務署が
何らかの証拠をすでに掴んでいることがほとんどなのです。

資料せんのパターンは多岐にわたりますが、その多くは
不正が見込まれる調査先だと考えるべきでしょう。

・預金口座から売上除外等が明らかである場合
 (社長の個人口座に入金があるなど)

・前事務年度に調査に入った取引先で、
 調査先との数字がどう考えても合わない場合

事前通知が早い(7月上旬~中旬)の調査については
「特に」調査初日より前に経営者に、不正の有無を
確認しておかなければなりません。

なぜなら、事前通知後であっても、調査初日(臨場)前に
不正が発覚し、修正申告を提出すれば、
「どれだけ不正があったとしても」重加算税は課されないからです。

※延滞税は課されますが、除斥期間がある分
 重加算税の場合よりもかなり安くなります

重加算税が課されない根拠はこれです。

「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703/01.htm

ここに、

「(注)臨場のための日時の連絡を行った段階で
修正申告書が提出された場合には、原則として
「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。」

とあり、調査の事前通知の後であっても、
調査の初日前であれば、修正申告は「自主修正」
扱いとなり、加算税が課されないというわけです。

※過少申告加算税が課されない=重加算税は課されません

7月の早い時期に税務調査に入れらるというのは
それなりに意味があることなのです。

事前通知があれば、調査の前に絶対に

「社長、もし不正しているなら今のうちに言ってください。
それならまだ救いようがありますから」

と確認しなければならないのです。

もし、不正が発覚したのであれば
調査初日より前に修正申告を提出してください。
これだけで、重加算税がゼロになり、
延滞税が安くなるのですから。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2013年7月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

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