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2016.10.24

相手方を明かせない支出は・・・

※2015年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

税務調査でよく問題になる支出として、
「相手方を明かせない」リベート・キックバックがあります。

実際に支出しているわけですから、経費処理するのは
わかりますが・・・調査でモメることは必至です。

「相手方を明かせない」理由は、相手方が
勤務している個人で勤務先にバレないため、
相手方が申告していない所得であることも多く、
反面調査に行かれては、ビジネス上の関係が
崩れるというものが多いようです。

税務署に相手方を明かさない、となると、
否認指摘のパターンもいくつかに分類されます。

①個人的支出と認定される
⇒ 役員賞与とされ、損金不算入+源泉

②使途秘匿金と認定される
⇒ 損金不算入+40%別段加算

③費途不明の交際費
⇒ 損金不算入

これに加えて、消費税の要件を満たしていないことから
仕入税額控除も合わせて否認されることもあります。

①とされれば、役員個人の支出と認定されたわけですから、
相手方を明かす必要性はありませんが、②や③の場合、
それでも相手方を明かすよう迫られることもあります。

税務調査で毎回問題になり、しかも上記のような
課税をされるくらいなのであれば、当初から
【役員報酬を増額してその税引後から支払った】
方が、どう考えても得です。

役員報酬を増額して過大役員報酬にひっかかるなら
まだしも、リベート分程度の増額で過大になるケースは
ほぼないかと思います。

過大にさえならなければ、役員報酬は全額損金になり、
所得税率が高い・給与所得控除がカットになるといっても、
調査で役員賞与とされるくらいなら、あえて税引後役員報酬
を原資にリベートを支払った方が税金が減ります。

また、役員報酬の支出後はあくまでも家事費部分なので、
リベートを支出している事実がバレることはなく
(そもそも法人から支出していませんので)、
相手方を明かす・明かさないの問題は生じません。

私は現実的に考えて、相手方を明かせないリベート
自体を否定するつもりはありません。

このような支出があるからこそ、事業がうまくいく
という業種・業態・会社も実際に存在するでしょう。

一方で、相手方を明かせないことを知りながら、
その支出をそのまま計上することは問題だとも思います。

これは支出の内容・理由が法律に抵触するからではなく、
税法上認められないことが分かっているはずだからです。

前回の調査で相手方が明かせない支出がある場合、
その否認内容が引き継がれている可能性が高く、
また同じ支出を否認されることは当然と思うべきです。

相手方を明かせない支出は、税引後の役員報酬から
出すことで、調査でモメないのであればその方が
顧問先も喜びますので、ぜひ顧問先に提案を。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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