確定申告明け税務署からの連絡に気を付けるべきこと
※2019年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
3月の確定申告を終えたこの時期に
税務署からの電話連絡があれば、
税務調査の事前通知か、もしくは
申告内容の誤りに対する指摘でしょう。
税務署内では、提出された申告内容について
机上で審査し、そこに誤りがある場合に
電話・郵送連絡にて是正を促す行為を
「事後処理」と呼んでいます。
税務署から連絡があり、その指摘通りに
申告内容が誤っていた場合、修正申告になる
わけですが、ここでモメがちなのが加算税です。
一般的に、事後処理の結果として修正申告を
提出した場合、「行政指導」に基づく行為として
加算税が課されないことが多いのですが、
担当の税務署職員もしくは誤りの内容によっては
「この修正申告には加算税が課されます」
と言われるケースが多くあります。
まず、法的な理解ですが、修正申告を提出する
という行為に加算税が課されるかどうかは、
税務調査 ⇒ 加算税が課される
行政指導 ⇒ 加算税は課されない
となります。
では、事後処理における誤りの是正指摘は
どちらに該当するのでしょうか?
これについては国税庁のFAQで
下記のように示されています。
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a02
問2
税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか
確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう
連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。
(回答)
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を
認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認
するものですが、税務当局では、税務調査のほかに、
行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に
計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等
の誤りがあるのではないかと思われる場合に、
納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、
必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する
場合があります。このような行政指導に基づき、
納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、
延滞税は納付していただく場合がありますが、
過少申告加算税は賦課されません(当初申告が
期限後申告の場合は、無申告加算税が
原則5%賦課されます。)。なお、税務署の担当者は、
納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、
具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを
納税者の方に明示することとしています。
電話連絡だからといって税務調査ではない
と言い切れるわけではありませんが、
税務調査なのであれば事前通知が原則として
ありますし、上記FAQにあるように、
事後処理は「自発的な見直しを要請した上で、
必要に応じて修正申告書の自発的な提出を
要請する」行為ですから、行政指導に該当し、
加算税が課されないことがわかります。
また、併せて確認すべきは上記FAQに、
連絡の冒頭で行政指導か税務調査かを明示する
とありますが、これが明示されない連絡が
実際のところほとんどかと思います。
ですから、この時期に税務署から電話連絡があり、
調査の事前通知でない場合は、こちらから冒頭に
「これは行政指導ですね」と確認することで、
加算税でモメる要素をなくすことができます。
この論点はもちろん、個人の確定申告だけなく
法人の申告でもまったく同じわけですが、
この時期だからこそ事後処理の連絡が多く、
モメるケースが多いので注意してください。
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