社内イベント費用が課税されない要件
※2019年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
本メルマガ金曜ではここまで、経済的利益を中心とした
源泉課税について解説してきましたが、
今回は「社内イベントの費用」について解説します。
私自身もそうなのですが、社内で開催する行事
(飲み会・外出イベント・スポーツイベント・旅行等)
を会社が負担する場合に、給与課税にならないかを
考えなければならない場面があります。
今回は、事業主が負担するレクリエーション・イベント
の費用が給与課税にならない原則的考え方です。
まず、もととなる通達から確認します。
所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益
……使用者が負担するレクリエーションの費用)
使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために
社会通念上一般的に行われていると認められる会食、
旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担する
ことにより、これらの行事に参加した役員又は
使用人が受ける経済的利益については、使用者が、
当該行事に参加しなかった役員又は使用人
(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者
を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する
場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を
負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の
業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)
に支給する金銭については、給与等として
課税することに留意する。
まず「社会通念上一般的に行われていると認められる」
レクリエーションとされていますが、この範囲には
「ゴルフ(コンペ)」は除かれると考えられます。
どのスポーツイベントならダメ、というのは
一概に言えませんが、ゴルフはこの範囲外とする
のが通説となっています。
また、これは他の経済的利益でも同じですが、
特定の従業員のみを対象とした場合も、
給与課税されることになります。
この「水平的公平性」を満たしているかですが、
少なくとも一定の役職者や成績優秀者だけが
参加するイベントは給与課税になります。
一方で、イベント内容にもよりますが、
本店・支店ごと、また部署・課単位での
イベントは認められますので、全てが
会社全体である必要はありません。
「No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm
においても「工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの
職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。」
とされていることからも、単位ごとのイベントが
認められていることがわかります。
ここまで原則的な考え方になりますが、最後に
不参加者がいる場合の取扱いにも注意です。
特に社内旅行など、ある程度高額になり、かつ
家族の都合等で旅行に参加できない従業員がいる
イベントでは、どうしても不参加者に対して
別手当をする意向の会社もあります。
上記通達の注書きにもありますが、
業務上の都合で参加できない場合でも不参加者に
金銭支給をすれば給与課税になります。
また業務上の都合以外で、従業員の意志(自己都合)
により、「参加するor参加しない場合は金銭支給」
を選択できる場合、不参加者に支給する金銭に
給与課税するのは当然としても、参加者にも
経済的利益の額が課税されますので要注意です。
この選択設定をすれば、全員に給与課税されますので
要注意のポイントです。
所得税基本通達36-50(用役の評価)
使用者が役員又は使用人に提供した用役については、
当該用役につき通常支払われるべき対価の額により
評価する。ただし、36-30に定める行事に参加した
役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に
参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要
に基づき参加できなかった者を除く。以下この項に
おいて同じ。)に対してその参加に代えて金銭が
支給される場合に受けるものについては、
その参加しなかった役員又は使用人に支給される
金銭の額に相当する額とする。
次回、来週金曜の本メルマガでは、
不相当に高額のために給与課税になる
イベント費用について解説します。
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