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2019.02.19

社長の個人口座は質問検査権の対象か?

※2018年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

質問検査権の権限とその範囲を
正しく理解しておかなければ税務調査を
適切に対応することは難しいでしょう。

よくある質問として、

「法人の税務調査において、社長個人の
預金口座は質問検査権の対象になりますか?」

というものがあります。

法人に対する税務調査ですから、
「個人には及ばない」と考えるのは早計です。

質問検査権の対象は2つに分類され、

(1) 税務調査を受ける者(の事業に関する
帳簿書類その他の物件)

(2)(1)と取引がある者
(これは反面調査なので、(1)に関連する
取引部分の提示・提出に限られる)

となります。

社長に対して給与(役員報酬)の支払いが
あるでしょうから、少なくとも
役員報酬の支払いが適正にされているかどうか
という点については調査対象となりますから、
社長個人の口座(のうち役員報酬が
振り込まれている口座)は質問検査権の
対象になると考えなければなりません。

また、社長から法人に貸付金がある(役員借入金)
場合も同じように理解でき、社長から借入がある
という事実から、銀行と同じ取引先と捉えることが
できますので、社長個人の口座であっても
質問検査権の対象となる、ということです。

ただし、これらはもちろん、社長個人の
収入・所得がすべて調査対象となるものではなく、
あくまでも法人に対する調査の反面調査ですから、
役員報酬・借入という点に関してのみ
質問検査権が及ぶ、という理解です。

社長個人に関する全所得を把握したい、
ということなのであれば、「個人に対する
税務調査になるので、社長に事前通知をして
所得税の税目で調査をしてください」
と主張することになります。

ここが、法人・個人の質問検査権の
切り分けポイントになります。

社長の家族・親族に関する調査も同じ考え方で、
家族が役員になっており、役員報酬の支払いが
あるなど取引があれば、個人口座が
質問検査権の対象となり得ますし、
役員になっていないなど、法人との関連が
なければ質問検査権は及ばない、となります。

国税は都合のいいときだけ、
「法人と個人は別」と主張してきますが、
特に質問検査権の行使の際には
法人と個人の切り分けなく
権限の行使をしてくることが多いです。

調査立会い時には、質問検査権が役員の
どこまで及ぶかには十分気を付けてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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