租税回避行為は否認できるのか?
今回は、『節税と租税回避行為』がテーマです。
私が、税金のことをわかっていない人によく聞かれる質問は、
「節税と脱税の違いって何ですか?」です。
税理士の皆さんも経営者からたびたび同じ質問をされることと思います。
スゴく簡単に答えるなら
節税=合法
脱税=違法
ということになるのですが、節税と脱税の間に
租税回避行為が存在することを伝えるのは非常に難しいものです。
税理士の皆さんはクライアントさんから
節税の相談を受けることも多いことでしょう。
しかし節税のアドバイスはいいのですが、
どうしても租税回避の境界線があやふやになりがちです。
先日ある税理士さんから、仕入税額控除額を使った
消費税還付スキームの是非について質問を受けました。
個人がマンション経営を始める際に、敷地内に
「自動販売機」を設置し、課税売上のみを作り、
マンションの建築費用にかかる消費税の還付を受けるものです。
消費税法30条、またはそれに関連する法令を読むと、
課税売上と仕入控除税額の直接的な対応関係には
一切触れられてはいません。
このスキームは「課税要件の充足を避けることによる
租税負担の不当な軽減又は排除」と言えますので、
明らかな租税回避行為と言えるでしょう。
では、国税が租税回避行為を否認できるのか?
国税が租税回避行為を否認するためには、
①そのスキームを認めないという法律があること
②同族会社の行為計算否認規定による否認
のどちらかの要件を満たしている必要があります。
自動販売機の設置によるマンション建築費用の
消費税還付スキームは、この2要件を満たしていないため、
租税回避行為だと言っても否認はできません。
消費税の還付を受けている法人および個人は、
税務署が作成している消費税還付リストに載るため、
税務調査の重点対象とされています。
ですからこのスキームを使った場合、
税務調査に入られやすくなりますが、
調査官が消費税還付を否認しようとしたら、
「何を根拠に否認と言っているんですか?」と聞いてみてください。
回答できるはずがありません。
租税回避行為については、全てが否認されると
思っている方が多いので注意が必要です。
※2010年7月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。