• HOME
  •  › ブログ
  •  › 税務代理権限証書を提出しているのに納税者に事前通知は違法か?
2019.07.19

税務代理権限証書を提出しているのに納税者に事前通知は違法か?

※2018年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税理士が税務代理権限証書を添付している
にもかかわらず、税務署が顧問先(納税者)
に直接連絡するのは違法なのでしょうか。

この論点において、今回は調査の「事前通知」
について解説しましょう。

事前通知については、国税通則法第74条の9
に規定されていますが、今回は税理士側から
考えてみますので、税理士法を見てましょう。
(カッコ書きを除きます)

税理士法第34条(調査の通知)第1項
税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を
記載した申告書を提出した者について、
当該申告書に係る租税に関しあらかじめ
その者に日時場所を通知してその帳簿書類を
調査する場合において、当該租税に関し
第30条の規定による書面を提出している
税理士があるときは、併せて当該税理士に対し
その調査の日時場所を通知しなければならない。

この条文から2つのことがわかります。

(1)事前通知は納税者と、税務代理権限証書を
提出している税理士に「併せて」通知する

(2)無予告調査であれば税理士にも通知がない
(「あらかじめその者に日時場所を通知して
その帳簿書類を調査する場合において」
と規定されていますので注意してください)

さて、(1)の規定では「併せて」となっている
ことから、平成26年度税制改正で次の規定が
追加になったのは記憶に新しいはずです。

税理士法第34条第2項
前項の場合において、同項に規定する申告書を
提出した者の同意がある場合として財務省令で
定める場合に該当するときは、当該申告書を
提出した者への通知は、同項に規定する
税理士に対してすれば足りる。

ここにある「財務省令で定める場合」とは、
税理士法施行規則第17条の2を指していますが
具体的には、税務代理権限証書の
「調査の通知に関する同意」欄への
チェックを指しています。

さて、ここで注意が必要なのは、
「調査の通知に関する同意」欄にチェックを
入れていたとしても、税理士法第34条第2項
には「当該申告書を提出した者への通知は、
同項に規定する税理士に対してすれば足りる。」
と規定されているのみで、税理士に先に
連絡をしなければならない、という
規定にはなっていないことです。

あくまでも、第1項で「併せて」(両方に)
事前通知するものを、チェックを入れていたら
【税理士に事前通知すれば納税者にも
事前通知したものとみなす】ということです。

ですから、税務署が納税者に直接事前通知する
ことを禁じているわけではありません。

来週は同じ論点で、税務代理権限証書を
提出している場合で、税務署が納税者に
直接問合せ連絡などをすることが
違法になるのか、について解説します。


※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。